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つまり、西洋音楽は時代精神の反映がなされているので、残ったといえる。それに対して日本の伝統芸能は、それで興奮した時代もあったのであろうが、現代の人たちの時間の感覚で見ると非常に間延びしてしまう。各国の民族音楽が西洋音楽に圧倒されていく最大の理由がそこにある。しかし例えば歌舞伎をテンポが緩いので早くすればいいかというと、変えたら歌舞伎でなくなってしまうといった難しさがある。

○これがかつての日本人の時間なのですよということを冒頭に断ってからやらないと日本の伝統芸能は見てくれない。

 

(3)伝承芸能に対する意味づけ

○仮に伝承芸能を復元したとしても、過疎のため見る村人がいないというのが問題。この村人を県民に置き換えて、県の人に自分のふるさとの素晴らしさを知ってもらうことを目的にしてやっているところもあり、そういう認識の上に立った伝承芸能は、みんなが保存しようと動いてくれるようになる。

○自分たちがやっているものに対する権威あるところによる意味づけの解説が必要である。

○金だけもらったのでは盛んにならない。歴史的経緯等の意味づけをしてやると、非常に勇気づけられると思う。

○復元して記録するときに意味づけの解釈まで一緒にして記録し、伝えることが必要である。

○無形文化はほとんどが口伝なので、意味づけをする際、その証拠を探すのが大変である。かなり腰を据えてやらないといい加減なものを後世に残してしまうことになる。

○神話を解説していくと、歴史的な事実と抵触する部分が出てきて、考古学との接点が問題になるので、そこの説明をした上で保存しなければならない。

○当懇談会のメンバーで意味づけするシステムをつくって、選定団体を決めるときにイベントをやってはどうか。

 

 

 

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