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別添F:土地と建物

 

1. 本別添では、土地と建物の利用並びにそれらの扱い方に関する事前評価から生ずるいくつかの問題について概説する。

 

2. 標準型オフィス施設の取得や処分といった多くの不動産問題の事前評価は、幅広い経済的考察が認識される必要があるがキャッシュフローの面から処理できる。

 

3. ある政策案が土地や建物の利用や譲渡を行う場合、土地や建物に対する財産権も考慮に入れる必要がある。土地や建物を購入、売却、賃貸「すべきかどうか」という問題に対して、この点が適応される。新規建設プロジェクトの場合は、建設費を検討する必要がある。事前評価に共通する間違いは、すでに所有している土地や建物の賃貸価値か資本価値を見落としたり、あるいは資本費用と賃貸価値の両方を算入して二重の原価計算を行う点である。

 

4. 不動産利用の原価計算は、年間賃貸料か資本価値の面から行える。そのどちらを採用するかという選択は、通常、実際上どっちが便利かという点に基づいて選択する。自由保有不動産、開発価値のある不動産、満了期限が10年を超える借地による不動産などを使うときは、通常、資本価値を採用するのがよい。その他の場合は、年間賃貸料を採用するのが普通である。

 

評価の基準

5. 事前評価における不動産評価は、土地や建物の機会費用を算定すべきである。その算定値は最新のもので、できるだけ価値のある用途に基づいたものとすべきである。現在価値の評価と将来価値の予測において生ずるいくつかの共通の問題はすでに論じた。

 

現在価値の評価

6. 最も価値のある代替用途における「用地」の価値評価は、固定資産価値評価担当課、経験を積んだ不動産鑑定士なり、監査法人などの、しかるべき不動産専門家の助言に基づいて実施すべきである。

 

7. 計画許可を取得したため用地の市場価値が上昇した場合には、その特定用途向けの需要が市場に認められると想定し、現在または将来の計画認可を反映させるようにその不動産価値を評価すべきである。継続開発に対する計画認可がなければ、将来その認可を取得する可能性をも(適切な専門家の助言に基づいて)推定し、評価に反映させる必要がある。逆に、開発規制により不動産価値が下落する場合もある。こうした規制が解除されるかどうかも検討し、その検討結果を評価に反映させるべきである。潜在的開発価値を伴う場合は、不動産鑑定士の助言が必要となろう。

 

8. 不動産価値は、たとえば住宅、商店、オフィスといった評価時の土地利用に応じて変動することもある。中央政府によるほとんどの事前評価では、すべての実現可能な代替利用のうちで最も市場価値の高い代替利用を検討すべきである。こうした面での実現性評価では、市場による評価と同様、計画の予定地と共にその利用に対する市場の需要を考慮に入れる必要がある。

 

 

 

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