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35. エクイティ・ファイナンスが最終的に純粋な補助金となるか、何らかの収益を生むこともある。収益を生んだことのある継続プログラムの一環として援助がある場合は、現金収益を直接試算できることもある。そうした例としては、財政関税の対象となる開発機関の投資資産がある。その他に、収益をゼロと想定するのがよい場合もある。

 

36. 助成金を受けた工場に敷地を提供する場合も、同様の問題が生ずる。しかし、賃貸レベルの最適推定値は、割引率を適用し、敷地提供の資本費用に対比して設定すべきである。期待占有率と期待賃貸料の査定では、見込み収益を調整する必要がある。支援を受けるプロジェクトの期間が工場の耐用年数より短い場合は、その残存簿価を実質的に試算する必要がある。

 

37. ほとんどの場合、政府の産業振興は補助金という形で提供される。市場の失敗により調達資金が不十分な場合などは、融資の方が費用効果が高くなる。こうした融資の金利は、政府融資基金(National Loan Fund = NLF)の金利に3パーセントを加えた「広義の商業金利」(Broadly Commercial Rate = BCR)である。企業に融資を与えた場合の純補助金相当額は、実際の返済額と市場金利(通常BCRとみなされる)による返済額の差額をその市場金利で割り引いて算定する。(現行計画の下でのはっきりした助成金融資の場合、その譲与的融資金利はBCRに比べ3パーセント低い)。代替的な段階的補助金を比較する場合は、市場金利で割り引いてから比較する。こうした算定法から得られる純補助金相当額は、助成金レベルに関するEUと英国の規定条件を監視するために使用できる形のものである。その助成金レベルは、割引ずみ固定資本費用に対する比率として算定した割引ずみ補助金の値で示される。

 

38. 原則として、費用効果の評価では、支出の割引率として実質6パーセントという中央政府の割引率(つまり公定歩合)を採用すべきである。この割引率は、段階的補助金や融資における納税者の負担費用を反映したものである。実際に、プロジェクトの支出が名目的なものであれば、それに応じてその割引率も名目的割引率にする必要がある。別添Gの第4(v)項でも指摘するように、この名目的割引率は、6パーセントに比べ、英国大蔵省の予測した一般インフレ率に等しい分だけ高くすべきである。

 

実現性

39. 民間企業に対する支援提供(たとえば補助金交付)を伴うプログラムでは、プロジェクトの実現性を評価する必要がある。商業的実現性に欠け、途中で挫折するプロジェクトに公共資金を投入するのは無駄である2。援助を与える場合は、プロジェクトのキャッシュフローと助成金が商業投資基準を満たしさえすれば十分とすべきである。援助を与えるのは、将来性があるとみなされた企業のみとする。一般的にも、またプロジェクト実施担当者に関しても、管理の質が非常に重要である。過去に何らかの実績があれば、実現性を判定する一助となろう。

 

2 2回以上援助を受けているプロジェクトを排除するという点も、強力な根拠があるように思われる。何度も援助を与えると、援助を受ける企業側でも政府当局でも弱い管理体制を助長しかねない。いかなる場合であれ、破産した企業を奨励して取引を続けることは違法である。

 

 

 

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