22. 切替とは、通常、政府援助を受けるために、企業がある事業を同じような別の事業に切り替える状況を指す。たとえば、長期失業者雇用奨励策を実施すると、企業は長期失業中でない求職者を長期失業中の求職者に切り替えて雇用するため、地域の雇用増大に至らないこともある。
23. 追加性の分析では、通常、政府介入の影響を受けるアウトプットと労働力の分析、場合によっては資本市場の分析も必要になる。たとえば、雇用創出プログラムにおける転移量レベルを評価する場合は、地方労働市場の特徴と関連づけて雇用の創出または確保される特徴を調べる必要がある。
24. 省庁が特定地域の雇用及び余剰労働力に関するその決定の影響を評価する必要がある場合にも、この点が関連してくる(たとえば大規模な余剰労働力を検討する場合は、地域への潜在的影響も評価する必要がある)。
25. 追加性の評価に費やす労力は、プロジェクトの所要支出レベルと所要期間に応じたものとすべきである。(雇用創出、雇用確保、余剰労働力のいずれかにより)雇用面に大きな変化が生ずる見込みがある場合は、通常、転移量の評価において地方労働市場の徹底的な分析を行う必要がある。特定企業の雇用を確保するために補助金を与えるかどうかを検討する時は、その企業の雇用を確保するために補助金が必要かどうかも検討すべきである。地方労働市場の分析では、確保される職種の労働者の年齢、技能を経験を分析し、また、そうした労働者の特徴と失業者、特に長期失業者や最近就職した労働者の特徴とを比較する方法も検討される必要がある。そうした分析では、こうした失業者が発生した場合に(特定の技能や経験を持つ労働者が地方労働市場に流入することを想定し)その地域に対する新規投資の可能性も評価できよう。他方、雇用面に生ずる変化が小さいと予測される場合は、それほど詳細な分析をしなくてもよい。
26. プロジェクトの追加性評価では、補助金が少額の場合は、申請者に直接質問して判断を下すだけで十分あろう。また、認可するプロジェクト案を追加プロジェクトに限るように、支援を受ける資格条件を設定することもできる。補助金が多額の場合は、申請者の事業をかなり深く分析して有益情報を見つけ出すこともできる。補助金が交付される場合の追加性評価は、申請企業の確認のとれない申告に基づいて実施すべきではない。そうした申告としては、たとえば、プロジェクトの収益が国内の限界収益率に比べ低すぎるとか、代替地(非振興地域や海外)を検討中であるといったものもある。
27. 限界収益率が非常に高い場合は、その高い限界収益率を実際に採用していることを実証し、そうした高い限界収益率を採っている正当な理由を企業は示さなければならない。一般的に、非常に高い限界収益率は非効率な投資の判断基準となるので、申請を却下する恰好の理由となる。政府としては、非効率な企業行動を奨励すべきではない。さらに、非効率な高い限界収益率を採用している企業は、将来投資の見込みも薄い傾向がある。
28. たとえば補助金を申請中の企業が代替地を検討していると申告した場合は、通常個々の選択肢の詳細な投資評価という形で、その申告を裏づける確実なデータの提示を求めるべきである。