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別添E:景気浮揚を目指した市場介入

 

まえがき

1. 本別添では、国、地域、部門の景気浮揚を目指して民間市場に介入する公共部門の介入プログラムから生ずる様々な問題を扱う。また、経済的効率性を目標とした中小企業支援、輸出振興、技術革新などの各種プログラム並びに(多くの活性化プログラムは経済的及び社会的目標を達成するためのものであるが)地域や地方の活性化といった社会的目標達成を目指した政府介入プログラムも扱う。

 

2. 本別添は、省庁が各プログラムごとに作成する詳細な指針というよりもむしろ、各プログラムに適用すべき一般原則を述べたものである。本別添の添付資料1では、活性化プログラムの事前評価に関する追加指針を提示する。

 

3. 事前評価方法は政府介入の種類と(経済的または社会的)プログラムの目標に応じて異なってくるが、この種のプログラムすべてに、一般的に国内経済の効率、追加性、費用効果という3つの判定基準が適用される。さらに、選択的地域振興(RSA)計画のような地域工業振興プログラムでは、プロジェクトの実現性という判定基準も検討される。

 

国内経済の効率性

4. 一般的に、試算した費用と便益が国内資源の効率的利用を示さない限り、政府は民間市場に介入すべきではない。しかし、効率という判定基準はプログラムの目標に応じて異なってくる。プログラム目標が経済的目標の場合は、そのプログラムの支出は経済的効率性を上昇させるものでなければならない。プログラムの目標がたとえば支援地域の雇用創出といった社会的目標の場合は、そのプログラムの支出は経済的効率性を低下させるものであってはならない。ただし、プログラム目標達成面の費用効果が高い支出は、国民経済の効率が多少低下しても受け入れられることもあろう。

 

5. 経済の効率性を高めるのは、(介入による行政的歪み効果を考慮した上)政府介入により市場の失敗をある程度是正できる場合だけである。したがって、経済的目標を持つプログラムでは、市場の失敗が存在していること並びにそれをうまく是正できることを実証する必要がある。この点については、「市場の失敗と政府介入」の項でさらに詳細に検討する。

 

6. また、本指針の本文で概説した各種方法を使ってプログラム(またはプロジェクト)のインプットとアウトプットを分析し、経済的効率性に関する影響をできるかぎり検証すべきである。こうした場合の分析を効率テストという。しかし、経済的目標(たとえば輸出振興など)を持つ多くのプログラムでは、あらゆるインプットとアウトプットを識別し、その価値を評価するのは非常にむずかしい。したがって、経済的効率性に関する影響評価は市場の失敗分析に頼らざるを得ない。

 

7. 社会的目標を持つプログラムの場合は、市場の失敗を確認する必要はない。この場合は、常に「効率テスト」が採用される。

 

 

 

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