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26. 官民比較としなければならない条件がなくても、民間資金調達事業は、金銭的効率性を確保するために、公共機関が民間資金導入事業に競争入札を導入する原則が適用される。リスク分析過程と事業仕様書作成段階に得た情報と共にその他の判断基準を併用すれば、交渉過程と金銭的効率性の評価に確実な情報を投入することもできよう。

 

27. 官民比較の作成は、必ずしも簡単なものではない。通例は、最近の実費支出に基づく公共施設の設計、建造、管理に関する一連の仮設的な契約を基礎としたものである。契約期間中に民間部門の期待業績基準を満たすサービスを提供するためには、資産の取得と運用に伴う費用とリスクに関する評価も必要になる。新規サービスの場合は、利用できる既成の比較対照はないだろうが、何らかの代替尺度を考案すべきである。

 

28. リスクの証明と費用試算は、官民比較における問題点の一つになる恐れもある。しかし、公平不偏な官民比較を行う場合は、リスクの費用試算が不可欠となる。

 

29. プロジェクト管理者は、リスク移転の最適レベルを決定する時に実施するリスク分析と並行して、できるだけ多くの個別リスクを明確に、その費用を試算する必要がある。特に、同じようなプロジェクトにおける(建設費と同様に維持管理費に対する)費用超過情報は明確に理解した上で検討すべきである。

 

租税問題

30. 租税の扱い方の違いから、公共資金と民間資金のいずれかに有利なように選択を偏らせたり、各民間入札者の選択を偏らせてはならない。供給業者の節税は大蔵省、ひいては納税者が負担する費用である。たとえば民間資金調達において免税措置を利用できる実質的な機会があっても、こうした免税措置が選択肢の比較に影響を与えることは許されない。

 

31. 場合によっては、付加価値税(VAT)が公共供給と民間供給の比較を歪めないように、調整を加える必要もある。付加価値税の扱い方は、比較対象のすべての選択肢に対する付加価値税が同等に(全面的に課すか、まったく課さないかのいずれかに)なるようにすべきである。

 

32. 各々の選択肢の費用比較では、6パーセントの割引率を使用すれば、実際上ほぼすべての事例において税込み費用を検討できる。もっと厳密に言えば、純課税額に基づいて資金調達費を比較する価値があると考えられるケースはごく少ない。こうした場合、政府借入れ費となる公共資金調達費は、民間資金調達にかかる追加課税を含めた民間資金調達費(6パーセントの公共資金調達費に算入されるこうした追加課税の引当金ではない)と比較される。その場合の公共資金調達費と民間資金調達費は、時間選好による6パーセントの割引率で割り引かれる。しかし、そうしたケースはまれであり、しかも複雑であるため、必ず大蔵省と共に詳細に検討する必要があろう。

 

 

 

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