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余裕度

10. 資金調達機関による資金余裕度評価は、公共資金によるプロジェクトと同様、民間資金導入プロジェクトでも重要である。各種選択肢の予備評価には、資金調達開始前にプロジェクトの資金余裕度を広範に検討するために原価計算ずみの選択肢も含めるべきである。

 

11. 一般的な資金調達プロジェクトでは、資本支出管理に長期的支出予算を抑制する効果がある。民間資金調達プロジェクトでは、公共機関は自ら編成した将来の支出予算を厳しく監視しなければならない。こうした支出予算には20年以上もの長期に渡るものもある。

 

金銭的効率性

12. 民間資金調達プロジェクトの承認は、一般プロジェクトの場合と同様、金銭的効率性に応じて行うべきである。それには、一般プロジェクトの場合と同様、そうしたプロジェクトを実施する価値があるかどうかを評価する他、代替的な調達方法の評価、つまり供給業者の選択を行う必要がある。

 

13. 実施すべきかどうかの決定は、本書で概説する一般原則に従って下す。民間入札者を募集する前の計画初段階において最初の評価を実施すべきである。入札実施後も再評価を実施する必要がある。供給業者の選択については、第23-28項において検討する。

 

14. 金銭的効率性が最も高い民間資金導入プロジェクトは、管理可能なリスクを民間部門へ移転する機会が最も多いプロジェクトとも言える(リスク移転については、第17-22項において検討する)。また、民間供給業者が提供するサービスを資産と共に最大限に活用するプロジェクトであり、第三者への売却により追加収入を生む可能性が最も大きいプロジェクトでもある。

 

15. 民間部門は広範な経営能力や商業的及び創造的技能を公共部門にもたらし、公共部門における金銭的効率性を高めることもできる。民間部門の参加レベルを最適化するには、解決策の企画において弾力性と革新性を最大限にできるようにアウトプットの必要条件を指定すべきである。

 

16. 資産の設計と管理に伴う責任と自由を増大すれば、資産とその管理の質も改善されるはずである。さらに広く言えば、民間部門の参加は、プロジェクトの改善と範囲拡大を導く。また、プロジェクトの価値を高める関連性のある開発を一層刺激するとか、その政策領域の事業を一層促進する。

 

リスク移転

17. リスク移転による最大の便益は、通常、民間部門が費用効果と品質の高いサービスを提供できるように報奨制度を改善するところから得られる。民間資金調達においてリスク移転に適用すべき原則は、リスクを最も適正に管理できる者にリスクを分担させるということである。

 

 

 

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