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別添D:民間資金調達

 

まえがき

1. 本別添は、民間資金を導入した公共サービス供給プロジェクトの事前評価に関するものである。民間資金の導入に対しても公共部門評価の一般原則が適用されるが、民間資金の利用にはいくつかの特殊な特徴が認められる。

 

2. 本別添では、公共部門の民間資金導入に関するかなり特殊な指針について、その証拠を明らかにする。本別添の添付資料では、英国大蔵省の現行指針の主な特徴について概説する。参考文献では、各省の現行指針について列記する。

 

3. 民間資金の利用に関しては、英国大蔵省と各省庁内部からさらに詳細な助言も得られる。

 

民間資金調達とは?

4. 民間資金調達とは、納税者や消費者にとっての金銭的効率性を高めるために、公共サービスの供給に民間部門をより一層参加させる一つの資金調達方法である。

 

5. 民間資金調達は、公共サービスの費用効果と質を高めるために、民間部門のあらゆる経営方式と起業家の能力を活用しようというものである。それには2つの基本的政策条件がある。あらゆる公共支出の金銭的効率性を明らかにすることと、民間部門がリスクを正しく評価することである。

 

6. 民間部門の参加を一層促進するという点で、民間資金調達は民営化や民間委託と同じような効果がある。しかし、民間資金導入プロジェクトでは、公共部門が依然供給するサービスの主要購入者でありプロジェクトの主要な責任者としての役割を保持するという点で、民営化とは異なる。また、公共サービスの供給のために民間部門を設計、建築・建設、管理、運用、資金融資などのプロジェクトに参加させるという点で、民間委託とも異なる。

 

7. 民間資金調達では、必要なインプットの量ではなく、政策目標達成に必要なアウトプットの量に重点を置く。民間資金の利用では、資本資産の需要者ではなく、サービス調達者としての公共部門が特に注目される。アウトプットの必要条件は、民間入札者間の競争をできるだけ弾力的にすることである。アウトプットの必要条件を設定する場合、公共部門は必要とするサービスを特定し、その提供方法は民間部門に選択させるべきである。

 

8. 河口横断プロジェクトという最も簡単な例を挙げると、交通機関利用者の選択肢を増すことが政策目標となるので、プロジェクト管理者はたとえば交通量と環境条件の面から必要なアウトプット量を特定し、橋、トンネル、フェリー運行のどれがこうした生産目標を最も良く達成できるかという問題は民間部門に任せるべきである。

 

9. 民間資金が導入される公共部門の事業は、大別して民間資金による独立プロジェクト、公共部門へのサービス販売、合弁事業の3種がある。こうした3種のプロジェクトについては、「民間の参加機会と公共の利益」("Private Opportunity, Public Benefit" 英国大蔵省、1995年)を参照されたい。

 

 

 

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