何らかの影響を計量化できない場合でも、何らかの特性に応じて各種選択肢間の差異を示せる測定尺度を考案することもできる。
14. 各影響をその単位や何らかの尺度で(下の枠内を参照されたい)計量化しておけば、選択肢に関する包括的マトリックスや影響調査書を作成することもできる。そうした方法の下では、採用できる有効なトレードオフを判断するのに最も適した形で各影響を記述できる。
各種尺度の使用法
測定に使用できる尺度は数種ある。
■順序という尺度は、評価する特性に従って選択肢のランク付けを行う。この尺度では、「選択肢Aは選択肢Bよりもアクセスしやすい」という点はわかるが、「選択肢Aは選択肢Bよりもどの程度アクセスしやすいのか」はわからない。
■間隔という尺度では、測定値間の差が重要になる。そのため、一方の評価点から他方の評価点を差し引くことができる(たとえば温度の尺度がある。温度22℃は25℃よりも20℃に近いが、20℃より10%高いだけでは役に立たない)。
■基数という尺度は、原点があるという点で間隔という尺度とは異なる。そのため、評価点間の比を計算できる。他の選択肢よりも評価点が2倍高い選択肢は、その特性も2倍になると言える。基数という尺度例としては、何らかの提案により悪影響を受ける人数にほぼ比例する0-5という尺度がある。
何らかの選択肢が「何もしない」という選択肢に比べいくつかの点で便益が低くなる場合は、たとえば「変化なし」をゼロにした-5から+5までの尺度によりマイナス評価点を付けると便利なこともある。
各種尺度の使用法における良い実例としては次のものがある-分かりやすく、適用しやすく、(得られた情報の価値に比べ)コスト効果のある尺度を採用する。「適正な」尺度を採用し、各々の評価点に使用した評価方法と条件設定を明確にした報告書を作成する。
15. 包括的マトリックス方式では、意思決定を報告するために必要な関連データを比較的分かりやすい形で提示する。環境評価が必要で、影響分布が重要になる計画や輸送部門では、この方式が広く採用されている。また、この方式は個別の価値評価とも併用できる。この方式では、その一環として各種影響の数値化、重み付加、ランク付けを行うことができる(下の枠内を参照されたい)。