1. この添付資料では、リスクを明確化及び計量化する技法について検討する。一般的には感応度分析を採用すべきであるが、その他の技法の使用を認められる場合もある。
リスク分析マトリックス
2. リスク分析マトリックスは、リスクにさらされるものを識別する基本的ツールである。このマトリックスは、特定プロジェクトの各種選択肢がさらされる各種のリスクと不確実要因を列記したリストであり、こうしたリスクと不確実要因が発生する可能性とプロジェクトの結果に対するその影響に関する評価も記載されている。このマトリックスは、リスクを負う者を明記したリスク登録簿と併用される場合もある。
3. 多くのリスクは定質的な影響を表記する必要があるが、少なくとも主要なリスクは計量化する努力を払うべきである。リスクにさらされるものの実態に関する情報は、過去の同種プロジェクトに関する評価報告書、会計検査院(NAO)のような公的機関の監視データと監査報告書から得られる。
感応度分析
4. 感応度分析とは、特定の条件設定の変更が正味現在価値(NPV)、総費用、その他のプロジェクト結果にどんな影響を及ぼすかを算定する方法である。感応度分析を採用する際は、代替的な条件設定にどの程度加重するかを決める必要がある。
例1
新情報処理システムには100万ポンドの費用がかかるが、10年間に渡り年150,000ポンドの人件費節減が見込まれる。割引率を6パーセントとすると、こうした費用と便益の正味現在価値(NPV)は104,000ポンドになる。
人件費節減の推定値から、1人平均人件費10,000ポンドの職員15人が情報処理システム1基に置き換えられるものと仮定すると、次の2つの感応度テストを行える。
(i)職員10人しか情報処理システムに置き換えられない場合はどうか? その場合の人件費節減は年100,000ポンドへと低下し、正味現在価値(NPV)はマイナス(264,000ポンドのマイナス)になる。
(ii)実質給与上昇率が年2パーセントの場合はどうか? 人件費節減の現在価値は122万ポンドへと増大し、正味現在価値(NPV)は216,000ポンドとなる。
5. 感応度分析は、どんな追加情報が必要かを知るのに役立ち、しばしば欠かせない手引きとなる。特に厳密な評価や管理を必要とする要素に目を向けさせるのに役立つ。(こうした要素としては、通常、場所の選定といったプロジェクトや政策のインプットと、相対価格の変動といった社会情勢がある)。感応度分析は、費用と便益に関する見解の違いが評価結果にどんな影響を及ぼすかという点をいろいろな評価担当者に認識させる方法としても役立つ。