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7. その他、デー夕の収集、処理、解釈などの面では、専門家の助言も欠かせない。たとえばデータ・ソースや分類の問題については、統計学者の助言が必要になることもある。財政的影響を検証する際にモニタリング情報が不十分である場合や、重要な政策や政策介入による行動学的影響を解明する必要がある場合には、新データの収集に社会調査官を参加させることも必要となる。本指針で扱ったいくつかの経済問題を解決するには、エコノミストの支援も必要になろう。コスト計算や資産収支面については、会計士の助言が欠かせないこともある。特に結果や実績についての計測方法を開発する際には、オペレーション・リサーチの専門家が必要になろう。

 

8. 適正な事前評価と事後評価を行うには、効果的な個人的及び組織的奨励策も欠かせない。

 

事前評価の管理

9. 通常の事前評価は、新提案を評価すべきだという上層部の期待を越えるような非常に積極的な管理も、省庁で事業を実施するか他に委託するかを決める技術的権限を省庁に付与する措置も必要としない。金銭的効率性を重視する団体では、通常の業務過程から自然に評価が行われなければならない。

 

10. しかし、事前評価手続きとその実施を自動的に行えず、評価設計とその適用において的確な問題点を問い、必要に応じて重大な問題点を探索するには、何らかの継続的な管理対策も必要になる。

 

事後評価の管理

11. 事前評価に比べ、事後評価にははるかに強力な対策(及び多くの面への政治的介入)と徹底的なモニタリングが必要になる。事前評価は、新規提案がきっかけとなって実施され、通常承認条件の一つとして必要になる。他方、事後評価にはそうしたきっかけはなく、新規プロジェクトの承認を約束するとか、承認撤回の脅しをかけるとかいったアメやムチもない。すべてに事後評価を行うには、管理職層の継続的な関与が必要である。

 

12. 実際の事後評価では、省庁の評価プログラムを進める上で、トップの支援を得た中央の明確な責任が必要になる。そのために編成された組織例としては、国際開発省のプロジェクト評価委員会(Projects and Εvaluation Committee)やDTIの政策評価委員会(Evaluation and Policy Improvement Committee)がある。

 

13. 評価をする可能な人材源しては、スポンサー、マネージャー、末端利用者、内部の専門家、外部のコンサルタントなどがいる。しかし、プロジェクト、プログラム、政策などの日常的管理に対して評価担当者達の独立性を維持すべきだという強い主張もある。最適な評価を実施できるのは、専門家の評価グループが評価を実施する場合である。

 

14. 独立した評価集団が常に問題とするのは、記録や技術的支援を取得できるように管理職から十分な信頼を得、しかも独自の判断を行えるようにその管理職との間に十分な距離を置くという点である。

 

15. 評価の一部を外部コンサルタントに請け負わせることも可能であろう。しかし、機密保持上の理由からも、省庁の管理面の重大な問題をコンサルタントに知らせることになるという犠牲も伴う、また省庁の組織文化の面からも、必ずしも適切とは言いがたい。それでも、しばしば専門的技術を必要とする明確な作業分野が生ずる場合も多い。そうした作業分野は当然下請けに出す。そうした場合は、コンサルタントの採用を金銭的効率性に基づいて決定すべきである。

 

 

 

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