4.32 そうした地方コストがかなり大きくなりそうな場合は、就職地域への移住者(TTWA)数に比べ余剰労働者数が多い場合と、年齢、経験、技能が余剰労働者と同じような失業者が就職口を見つけるのにその地域の平均よりもはるかに長い期間がかかり、失業状態が続く場合だけである。余剰労働者の影響を評価する場合は、エコノミストの助言、地方労働市場の分析、別添Eで述べる指針が必要になろう。退職手当が余剰労働者から生ずる地方コストの影響を示す適正な指標となることは減多にないが、財政評価においてはこうした費用も当然含めるべきである。
利潤
4.33 公共団体への納入業者が得る利潤は、通常、商品またはサービスの購入費の一部とみなすべきである。独占的利潤は経済的コストではなく、移転支出となるが、滅多に特定できない。そのため、購入者である政府がその業者の独占価格を他の項目に比べ軽視するのは、決して良い慣行とは言えない。しかし、政府が購入者とならない場合には、費用便益分析において独占的利潤を移転費用として特定することは可能であろう。
諸料金
4.34 英国大蔵省の「手数料及び使用料指針」("Fees and Charges Guide")に記載された規則に従い、公共団体の諸料金は当該サービスの会計費(機会費用とは異なることがある)を埋合わせるものとすべきである。こうした会計費と会計所得は、資源勘定、NDPBsの経過利子勘定、覚書貿易勘定、それらに類する勘定に記録すべきである。
4.35 手数料等の収入は大蔵省にとっては便益となるが、より幅広い捉え方をしなければならない費用便益分析では通常包括的な便益尺度とはならない。しかし、その料金レベルは便益のレベルと配分に影響を及ぼすものである。
諸税と助成金
4.36 諸税と助成金(補助金と租税支出も含む)は、相対価格に影響を与えることがある。そうした諸税と助成金を含む市場価格が、他の理由から機会費用や便益を反映させることはまずない。ただし、以下の点に対しては、別の見方が適用される。
・相対価格に対する一般税の影響2、
・「外部性」(第4.39項を参照されたい)を補正するために設けられた諸税や助成金の扱い。
4.37 評価において市場価格の租税調整が必要となるのは、そうした調整が実質的に重要となる場合だけである。これは、ケース・バイ・ケースによる判断や、特定省庁の指導を必要とする問題である。独自供給か購入か、リースか購入かといった異なった契約から租税が発生する場合には、選択肢間の相違点を調整することが重要である。たとえばそれぞれ異なる付加価値税(VAT)を伴う各種選択肢は、すべてのケースにおいて同じ付加価値税を納付するか、まったく納付しないか、そのいずれであっても比較すべきである。
2 諸税の影響は、課税された商品の需要及び供給特性に応じて異なる。価格に応じた需要の変動が非常に小さく、供給に弾力性があれば、通常、租税が価格を引き上げ、消費者の負担となる。需要の変動がはるかに大きく、供給が固定していれば、通常、価格に対する租税の影響はほとんどなく、供給業者の負担となる。たとえば、土地の供給に弾力性がなければ、不動産税の長期的影響は主として賃貸料と土地価格の低下として現れるのが普通である。