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配分問題の影響

4.27 中央政府の多くのプログラムでは、たとえば所得別、年齢別、健康状態別、技能別、所在地別による国民間の配分問題が生じている。こうした問題の影響が自然に明らかになる場合もあるが、重要な配分問題の場合は、その影響を判別し、できるかぎり計量化する必要がある。それには、影響をうけるグループ別に費用便益分析を行うべきである。

 

4.28 費用と便益の配分は、一般的には英国在住者に限定すべきである(もちろん、海外開発庁(Overseas Development Administration)のプロジェクトのように、便益面の対象を被援助国に限定している場合もあれば、特定の環境プロジェクトのように、国境を越えて影響を及ぼすことを目的としたものもある)。したがって、評価においては英国の輸出助成金を費用とみなし、海外からの補助金を便益とみなすべきである。しかし、評価の目的上、欧州連合(EU)の補助金や助成金は、英国の補助金や助成金に最も近いものとして、英国大蔵省との特定協定の下で英国の補助金や助成金と同様に扱い、特定のプログラムやケースではEUの補助金と助成金による純便益も評価すべきである。ただし、評価で扱うEUの補助金や助成金は入手できるものでなければならない。

 

移転支出

4.29 移転支出は、その見返りに何の商品もサービスも得られないものである。個人向けの社会保障給付金といった移転支出が所得や富の配分状況を変えることもある。(納税者の)直接費は(受益者の)便益により相殺されるので、管理費や法規順守費を除けば、移転支出自体が経済的直接コストを生むことはない。しかし、移転支出の財源確保に必要となる課税体制のゆがんだ影響を通して移転支出がコストを生む。したがって、移転支出が経済的コストに間接的影響を及ぼすこともある。こうした影響は正確に計量化できないため、ほとんどの評価では対象外に置かれている。しかし、上述した点に留意して、移転支出も事前評価すべきである。

 

4.30 税収並びに特定の商品やサービスに対する一般助成金は、通常、移転とみなされる。しかし、そのいずれもが市場価格に影響を及ぼすこともあるので、第4.36項-第4.39項に述べるように、この点も考慮に入れる必要がある。多くの場合、大蔵省の費用は移転支出と経済的費用が混ざり合ったものである。租税支出(税制の下で供与される助成金)も大蔵省の費用とみなすべきである。

 

4.31 退職手当は、労使間の雇用契約の一環とみなすこともできるが、将来の労働に対する見返りとして支払われるものではないので、評価では移転支出として扱うべきである。この点で、こうした補償金は第4.42項で検討する解約金と同じようなものである。それでも、労働市場の求人不足により余剰労働者が地方自治体の経済的及び社会的コストを生むこともある。そうした求人不足のため、地方の余剰労働者は現在の仕事に代わる次に善い就職口がなく再雇用を抑止または阻止される市場の失敗により、地方で再就職できない労働者は移住を余儀なくされる。しかし、別添Eでも説明するように、余剰労働者が生まれた結果として、国家経済全体に経済的コストが発生することはない。

 

 

 

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