日本財団 図書館


2.16 費用と便益には、第2.35項で説明する関連リスク及び不確定要素のアセスメントを導入することも重要である。

 

2.17 金銭的に評価できない重要なコストと便益は記録し、できるかぎり定量化すべきである。この種の影響については別添Cにおいて検討する。

 

2.18 事前評価においては、しばしばサービスの需要や結果を予測する必要がある。その場合には、人口動向、顧客グループ別サービス購入傾向、実質的単価動向、産出価値といった要素も考慮する必要がある。特定プロジェクトの予測は常に国内動向と一致させ、関連予測を実施する担当当局に確認すべきである。予測に関する詳細情報の提供は本書の目的外であるので、財政当局、エコノミスト、統計学者などから情報を得られたい。コストと便益の判別と評価については、第4.12項-第4.42項においてさらに詳細に説明する。

 

(iv)情報を分析する

2.19 さまざまな利用者のためにも、複雑なデータを構築する場合にも、事業案に関する入手情報を分析する必要があるが、その分析方法は幾通りもある。

 

2.20 いかなる事前評価でも、金銭的に評価できる費用と便益の比較を導入すべきである。多くの場合、中央政府では、市場価格のある社会資本や運営コストのような資源投入にしか、こうした比較を適用しなし。1組のほぼ同じ公共サービス結果を生むような代替的コストの流れを比較することを「費用効果分析」という。

 

2.21 非市場的影響を評価する場合もある。たとえば、輸送事故のリスク、人々の時間に対する影響、また時には環境に対する影響に関する場合である。この種の非市場的費用や(特に)非市場的便益の評価を大幅に利用する場合の分析を「費用便益分析」という3

 

2.22 いずれの場合の分析でも、代替的コストの流れと共に、できれば便益の流れの経時的比較も実施し、代替的事業案のリスク比較並びに評価できない選択肢間の相違点に関する判定も行う。

 

2.23 特定の政策領域や、特定の種類の影響が特に重要になる場合には、多くの部分的分析が採用される。たとえば、産業界にかかる規制や基準の順守コストを評価する場合は、「法規順守コスト・アセスメント」を採用する。また、特殊な「環境評価」を採用すれば、一般的評価の一助となる。

 

2.24 保健制度の評価では、費用効用分析を採用する。この場合には、人々の福祉という成果を数量化できるが、金銭的に評価することはできない。

 

3 費用便益分析という用語は、いくつかの異なる意味で使用されている。評価手続き全体を表わす場合もあれば、金銭的に評価できる量のみの分析を表わす場合もある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION