2.7 目標の設定については、以下の枠内で詳細に説明する。
目標の設定
プロジェクトの目標とアウトプットをできるだけ明確に設定することが重要である。有効的な目標分類方法の一つは、最終目標、中期的目標、短期的目標に分けることである1。
・最終目標は、通常、経済成長率のような戦略的また高いレベルの社会変動の観点から設定される。省庁の計画書や年次報告書、その他白書のような政府の政策刊行物も参考資料として利用できる。通常、検討中のプロジェクトは、こうした変動を決定するよりもむしろ、こうした変動に影響を及ぼすものと思われる。
・中期的目標は、最終目標から一歩下がったものである。最終目標を達成する必要がある場合は、当然中期的目標も達成しなければならない。通常、中期的目標は測定可能なものでなければならないが、検討中の測定値の寄与率を慎重に分析する必要もあろう。中期的目標は必ずしも当該サービス責任者の管理下に置く必要はない。
・短期的目標は、通常、プロジェクトのアウトプットと直接関係がある。この目標は通常測定可能なもので、大半が当該サービス責任者の管理下に置かれる。中期的目標を達成する必要がある場合は、短期的目標も達成しなければならない。
たとえば特定地域向け職業訓練計画の場合は、最終目標として経済成長率の上昇を設定できよう。中期的目標は人材不足の解消と、地方の失業率格差の解消に設定できよう。短期的目標は実際の就職ということになろう。
共通の危険性は、最終目標を犠牲にして中期的目標と短期的目標のみを達成しようとする管理誘因である。
こうした目標は慎重に設定する必要がある。こうした目標を評価する目的の一つは、設定された目標が実際に達成されたかどうかを調べることである。省庁のなかには、SMART(スマート)な目標を設定することを実効的な方法と見ているところもある。「スマート」とは以下の属性をすべて備えたものである。
■Specific(特定)■Measurable(測定可能)■Agreed(合意)
■Realistic(現実的)■Time-dependant(時間従属)
実際上、十分「スマートな」目標の設定は必ずしも実施可能ではない。特に戦略的目標の場合はそうである。しかし、目標はできるだけ「スマートな」ものにすべきである。
注1:もう一つの目標分類方法は、「ロジカル・フレームワーク方式」(Logical Framework Approach)である。(別添Aの添付資料を参照されたい)。
(ii) 選択肢を検討する
2.8 主な選択肢や各種目標達成方法のリストを作成すべきである。通常、一つの選択肢は「何もしない」とか「最低限に留める」(たとえば、現行サービス・レベルを維持するとか、法規定や基準を満たす)ことであるが、これは最低基準とみなすべきである。大型投資の場合は、さまざまな選択肢を検討した上で、さらに評価すべき選択肢をいくつか選択する必要がある。検討すべき項目は選択肢によって左右されるが、投資の時期、規模、場所、民間部門参加の度合い、放出資産の各種用途、既成技術や新技術の利用、環境条件などがある。