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第2章 事前評価手順

 

事前評価手続き

 

2.1 事前評価には標準的な手続きはない。手続きは、支出案やその他政策案に対する極めて整然とした一般的分析方法であるが、融通性をもたせることもできる。それでも、通常の事前評価は次のような手順で実施すべきである。

(i) 目標を明確に設定する。

(ii) 各種選択肢を検討する。

(iii) 各選択肢に関連のある各種の費用、便益、リスク、不確定要素を判別かつ定量化し、できるかぎり価値を明確にする。

(iv) 情報を分析する。

(v) 結果を提示する。

 

2.2 分析では改善事項をはっきりと示す場合もあるが、示せない場合も多い。費用、便益またはその両方にリスクと不確定要素を伴うこともある。また、金銭的評価を行えない重要項目もあれば、非常に定量化しにくい項目もある。特定の事業において重要とされる限り、公平性、計画の実現可能性、事前対応の経緯、その他経済面といった問題もすべて扱うべきであるが、その後の管理的または政治的判断の余地を広く残しておくこともできる。各選択肢ごとに、そうした要因の影響を系統的に述べ、どこに優位点があるかを評価する必要がある。

 

2.3 通常、事前評価を行うと、取り組まないか、あるいは評価された他の選択肢の一つに取り組むかどうかという決定を下すことになる。その後の管理手続きは、詳細な計画立案と管理、計画にかかる支出のモニタリングに関するものとなる。しかし、計画が具体的に進むにつれて、評価に使用される情報は一層精緻化され、新たな問題が生ずることもある。したがって、最初の決定に使用された基準がなお有効かどうかを検討することも重要である。

 

(i) 目標を設定する

2.4 提案に盛り込む目標は、基本政策や基本戦略に基づいて明確に設定すべきである。各種提案は、たとえば省庁報告書や政府の政策書に記載されたような省庁の最終目標に基づいて設定すべきである。

 

2.5 各評価では、まず最初に、プロジェクトや支出が何を達成するためのものかを明確に理解する必要がある。その場合は、そのアウトプット並びにそのアウトプットがどのように目標、特に最終目標を達成しうるものかという点に重点を置くべきである。目標が達成されたかどうか、どの程度達成されたかを事後に確認できるように、目標を設定すべきである。特に、サービス提供の目標は、その提供手段の目標と区別する必要がある。明確な目標がなければ、間違った選択肢を採択したり、選択肢を見過ごしたりする。また、費用と便益に間違った比重をかけ、リスクと不確定要素を徹底的に究明できない。

 

2.6 目標の設定では、重要な選択肢を締め出すような狭い範囲の設定を行ってはならない。他方、目標の範囲を広げすぎると、不要な作業を増やし、信頼性を損なう。適切な目標は評価段階に応じて異なる。多くの場合、一般的目標はシステム全体の初期評価に適する。狭い範囲の目標は特定分野の評価時に適用される。事前評価自体は、目標の明確化、正当化、疑問視、変更に役立つ。

 

 

 

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