どんな活動を事前評価すべきか?
1.6 新提案の事前評価が必要となる活動例としては、次のものがある。
・政策づくり-提供すべきサービスの種類とレベルに関する決定など。
・新規または代替資本プロジェクトープロジェクトに着手すべきかどうか、現在か将来のいつ着手すべきか、どんな規模で、どこで実施すべきか、民間部門の参入をどの程度にすべきか。
・既存資産の利用または処分-土地を売却すべきか、既設施設を安価なものに代えるべきか、施設や事業を別の場所に移転すべきか、事業を委託すべきか、事業の市場調査を実施すべきか。
・基準の設定-衛生安全基準、環境基準、持続性基準、建築物の断熱防音基準、防火基準、照明基準、設計基準の選定、規制順守の費用と便益の兼ね合いなど。
どんな種類の事前評価が必要か?
1.7 簡単な小型契約の相手を実績のある事業者2社から選択する場合、たとえばコストや品質などに関する必要な情報は明らかである。そうした場合は、情報収集、最終決定機関へ報告すべき情報の分析や提示を簡略化できる。
1.8 しかし多くの場合は、もっと複雑な情報と分析が必要になる。意思決定機関内部の者は、それぞれ特定の種類の情報-たとえば特定年度の予算原価、特定の利用集団やその他関係者への影響など-に特別な関心を持つ傾向がある。また、それほど多くはないが、少なくもないというケースだが、本書の別添B及びCに記載したように、情報自体も簡単なものではなく、特定の種類の分析も必要という場合もある。
1.9 事前評価には、国益面から見た納税価値評価表(VFM)も必ず導入すべきである3。こうした評価が-たとえば同一の成果を達成する方法の違いを費用で比較する場合のように-もっぱら財政的評価となる場合もある。価値ではなく、計量的評価できる項目もあれば、計量的評価を行えないが、明確な判断を下す必要のある項目もある。
1.10 事前評価には、将来にわたる事業案の予算面に関する分析も含めるべきである。また、予算を支出する省庁と同様に公共部門全体に関する分析も必要であろう。こうした事前評価やその他の組織的制約の検討から得られる情報によって、最終的に決定に至る。しかし、予算事前評価や財政的事前評価、つまり事業案の特定面に関する評価は「経済的評価」に代わるものとみなすべきではない。そうした事前評価は本来補足的なものである。
1.11 第2章においては、いくつかの種類の事前評価について簡単に説明する。
事前評価と事後評価並びに管理手続き
1.12 提案に対する事前評価を、提案実施前の最終段階で乗り越えなければならない障害とみなすべきではない。提案の構想時には、少なくとも準備段階での審査を受け、時には各重要段階で、特に新情報が得られた時点で修正すべきである。このような事前評価を経たもののみが、検討するに値する提案の形式や選択肢の選択になりうる。
3 ほとんどの事前評価では当然、指定されたものだけを扱う必要がある。たとえば、重要な新施設や新政策の一部を査定する場合は、通常、指定された施設を確保すべきかどうか、指定された政策を進めべきかどうかを決定することになる。