RADARSAT/SARデータ
RADARSAT/SARは、海氷観測に最も技術的な要件を満たす。しかし、その主要な問題はデータの高いコストである。
SARデータは雲に依存せず、もし観測幅が十分大きくそして解像度が適切であれば、海氷監視に対して理想的である。現在の衛星の中でRADARSATだけがオペレーショナルな衛星である。しかし、SARデータの処理には時間がかかり、そのためSAR画像はコストが高いものとなっている。また、ファイルサイズが大きく、インターネット上の伝送速度に時間がかかる。これはデータが氷サービスに使用される前に多くの時間がかかることを意味する。他の不利益は、SARデータは通常、決まって週の頭に注文されなければならないことである。
5.10 将来の衛星システムへの要求
シンプルな衛星センサーシステム
ENVISATに搭載されたASARのようなレーダーは、異なるモード機能を持つことができる。そして、そのためには高い技術と経費が要求される。これに対して、ある決まった周波数、偏波及び観測幅を持っただ1つのモードのシンプルな計器の必要性がある。そのコストは、例えばASARに比較して大変低いものとなるだろう。
SARに伴う問題には高いデータ料がある。一般に、データは衛星上で記録されることができない。そのため、衛星が現場にある時にデータを受信するための受信局が世界に広く設置される必要がある。
高いデータ料は、観測幅の大きさと解像度能力にも関係する。もし解像度が高ければ、観測幅を広くすることができず、またもし観測幅が広ければ、解像度は粗くなる。それゆえに、観測されて地上へ送信するデータの料金を減らすには、100mの解像度を持つ広い観測幅が適当である。
SARの時間空間カバリッジ(coverage)
航海には毎日の氷状態の情報が必要であり、これは観測幅と衛星の軌道の数によって決まる。観測幅が500kmで解像度が100mの場合は、南北緯度70度では1個のSARでほとんど毎日のcoverageが得られる。北緯40度では4個の衛星が必要になる。もし、二重の観測幅を持つ衛星が設計されるならば、衛星の数を減らすことができる。