NICはアメリカで最も大きな海氷機関であり、Washington D.C.の郊外の連邦ビルの中にある。NICは海軍とNOAAにより共同で運営されており、主としてオペレーショナル業務を支援する目的で海氷観測、解析及び予測を行っている。NICの海氷プロダクトは放送、FAX、データ伝送などを通じて、ユーザーである海軍、沿岸警備隊、気象局、船舶会社、民間会社等に供給されている。
海氷の解析に用いている衛星データには巻末資料2に掲げるものがある。海氷の解析対象海域はグローバルとリージョナルがある。グローバルには北極と南極を対象とし、リージョナルには北大西洋と北太平洋アラスカ沖の海氷と氷山を解析している。解析にはワークステーションを用いて、グラフィックデスプレイ上で地理情報システムと観測画像、資料を統合して、大変効率良く行われている。 また、全世界の海氷プロダクトがルーチンでNICに集められている。
5.8 海氷データとプロダクトについての要求のまとめ
バルチック海
@ 地球観測衛星(EO)データは何を提供できるか?
・RADARSAT/SARは100mの解像度でほとんどの範囲を2日毎に提供する。
・NOAA/AVHRRは1kmの解像度で、雲がかからない範囲を一日に数回提供する。
・SSM/Iはこの海域に対して解像度が粗すぎる。
@ ユーザーは何を必要としているか?
・100m以下の解像度のチャート
・5日かそれより先の氷予報
・特定の海域(港沖、航路上)おける解像度が100m以下の分類されたSAR画像
グリーンランド水域
@ EOデータは何を提供できるか?
・RADARSAT/SARは100mの解像度でほとんどの範囲を2〜3日毎に提供する。夏季の使用上において制限がある。
・NOAA/AVHRRはルーチンで用いられるが、しばしば雲がかかる。
特にフェアウェル岬海域ではデータが信用できない。
@ ユーザーの要求
・最も交通の頻繁な海域では毎日の氷チャート、その他の海域ではそれより少ない頻度の氷チャートが必要。
・氷山と小氷山の広がりと分布を示す氷山のチャート。
・沿岸付近の航路においては、より詳細な氷チャート。