日本財団 図書館


事実、RADARASATの頻繁なカバリッジ(受信可能範囲)により、砕氷船への戦略的支援に向けられる飛行時間が節約され、航空機探査が減少している。適切に価格付けられた衛星データを使うことにより、氷情報はより安くかつより正確になることが期待される。しかしながら、より良い品質または目的に合わせて仕立てられた氷情報に、より多くを支払いたいと望む顧客もまた存在する。

民間に対する公立の財政的支援について、安全な操業のための氷情報の供給を公立の財源は支援すべきであるとCISは述べる。公益の全てのサービスは、公立機関が責任を持つべきである。例えば、公共の安全、公害の防止や探知、非常事態への応答などはすべて公益の事業である。このサービスを行うのに必要な基幹施設は、公共が責任を負うべきである。もし、公共の財源が縮小されるならば、公共サービスの質と量は劣化するだろう。これは民間財源を投入する結果をもたらすだろう。しかしながら、それはまた、確実に民間の業務がますます高価になる結果を生むだろう。一方、民間の責務は、公益以外のサービスに十分な財源を当てることであろう。これは、専門化したサービス、作業を効率良く行うためのプロダクトまたは特殊な要求を含む。例えば、民間財源は、作業の効率化と目的に即したプロダクトに集中されるべきである。その時、同じサービスに対して商業的な競合は無くなる。

 

5.7 アメリカの現状

 

アメリカではNational Snow and Ice Data Center (NSIDC)とNational/Naval Ice Center (NIC) が海氷業務を担っている。NISDCはコロラド州Boulder市にあり、コロラド大学に所属している。この機関は約20人程度の職員から構成されており、主として気候変動を目的とした雪氷および海氷の研究と、全国の雪氷データおよび資料の収集とその提供を行うアーカイブセンターの役割を担っている。

NSIDCはThe World Data Center -A (WDC-A) for Glaciology の一部でもあり、他のWDC for Glaciologyであるモスクワ(B)、ケンブリッジ(C)及び藍州(D)の各センターと、チューリッヒにあるthe World Glacier Monitoring Service と共同で運営されている。その他の活動として、NSIDCはNASAが資金を出している地球観測システムデータ情報計画(EOSDIS)におけるDistributed Active Archive Centers (DAACs) の一つとして参加しており、また、国立科学財団(NSF)が資金を出している北極システム科学計画(ARCSS)のデータ協力センターになっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION