放射計の使用では、開放水域から新生氷を通じて若年氷になるに従って、表面の放射率は増大するという利点を持つ。より古くより厚い氷もまた、放射率の範囲が広い。というのは、雪の被覆と塩分が変動するからである。それゆえに、放射計による氷縁の同定はまったく信頼できるものと考えられる。なお、問題点は現在の放射計の粗い解像度にある。
氷の厚さ(Ice Thickness)
氷の厚さは現在の衛星搭載のセンサーから直接測定することはできない。これは最大の欠点である。氷の運動からある情報は推定されることができる。放射計はまた、新生氷、若年氷、一年氷および多年氷を選別することができる。この結論により、氷の厚さを査定することできる。しかしながら、現在の放射計の粗い解像度は厳しい限界を持っている。
SARにより異なる種類の氷を検出することが可能である。しかし、海の状態が静穏から荒れた状態に変化する時は、散乱係数の表面租度への強い依存性により、間違った解釈が導かれる可能性がある。さらに、異なる周波数、偏波、および入射角が異なる氷の後方散乱へどのような効果を与えるのか理解するため、多くの研究が必要である。氷の種類を同定することから氷の厚さを査定することは、それゆえに、間違った解釈を導くことになる。
氷の厚さを推定する間接的な方法は、例えば、AVHRRの表面温度と熱力学的氷成長モデルを結び付けることである。このモデルは50%の大きな不確かさを持つ(Yu, Y. and Rothrock, D.A.1996)。
5.4.3 衛星で観測された氷の形状と特徴
SARはまた氷の形状と特徴を同定する最も有効なセンサーである。海氷の形状と特徴に関連する最も重要なパラメータは、浮氷の大きさ(Floe size)、変形(deformation)、氷の開口域(openings in ice)氷山/小氷山(icebergs/growlers)、蔽氷雪(snow cover on ice)である。
浮氷(ice floes)
浮氷の大きさは数mから10km以上まである。SARは明らかに最も良い情報を与えるが、大きな浮氷については赤外とマイクロ波放射計によっても測定することができる。