新生氷(New ice)
グリース(油脂)氷やパンケーキ(蓮葉)氷のような新しい氷は、簡単にSARで割り出すことができる。グリース氷からのSAR後方散乱は、表面波浪が減衰されるので大変弱い。凍結の数日後のグリース氷は波浪の影響により次第にパンケーキ氷に変形する。パンケーキ氷は直径約30cmの氷の円盤である。SARはパンケーキの縁で強い後方散乱を持つ。これによると数mまでのパンケーキを同定することができる。
若年氷(Young ice)
氷にはさらに成長する幾つかの段階がある。5〜30cmの厚さの氷を若年氷(young ice)と呼ぶ。若年氷の幾つかのタイプはSARにより同定することができる。
一年氷(First-year ice)
一年氷は一氷季節の間に1〜2mまで成長する氷として定義される。また、融解期まで生き残らない場合、厚さ30cm以上の氷を一年氷と定義する。一年氷からのSARの後方散乱の強度は、氷面の粗さによって反射する表面散乱に支配される。氷の頂上が雪で覆われる場合は、雪が濡れている時を除くとSARの後方散乱波に影響しない。SARはそれゆえ、一年氷の平らな氷(level ice)、中程度に変形した氷、および強度に変形した氷を判別するのに役立つ。
多年氷(Multi-year ice)
多年氷は一融解期間中を生き延びた氷として決められる。それはSARと受動型マイクロ波データの両方を用いて、一年氷と区別することができる。
氷縁(Ice edge)
氷縁は全てのセンサで決定することができる。しかし、その精度はセンサ間において大きく異なる。SARは明らかに精度の点で最も良い結果を与える。開放水域からのSARの後方散乱は海の状態に非常に依存する。中程度および粗い海の状態では静穏状態の場合と同様に、氷縁はまったく信頼性を持って見分けられる。しかし、静穏な状態の中で成長してきた新しい氷の場合、または氷縁が滑らかな普遍的な氷の場合は、境界の解釈が難しいはずである。