NOAA /AVHRRデータの徹底的な使用は、少なくともバルチック海とグリーンランド水域における偵察飛行の回数を減じている。氷の状態をマッピングするに際して、SAR画像はオペレーショナルなベースで利用可能である利点を持つが、氷監視へのSAR画像の使用は、一般にはまだ、財政上の問題が解決されていない。
カナダでは、RADARSAT/SARデータがオペレーショナルな氷監視へ導入されて以来、航空機の使用が減少してきている。1998年にはフィンランドとスウェーデンにおいて、RADARSAT/SARデータがバルチック海に使用された。1998年2月に海上保安庁水路部と日本気象協会は、RADARSAT/SARデータを用いて、それぞれ独自にオホーツク海における流氷を解析し、この海域においてSARデータが利用可能であることを示した。
衛星データを氷監視へ使用するには、技術的な改良が必要である。利用可能なEO/SARデータは、単一の周波数と偏波であるので、氷のタイプを判別するのに眼界がある。現在のマイクロ波放射計(SSM/I)は、氷の分類を可能にする多周波数かつ複数の偏波データを持つ。これらのデータは地球規模の氷監視と気候変動の研究に有力である。しかし、氷海上の航海のためには解像度が粗すぎるので、バルチック海のような地方ベースの使用にはほとんど使用されない。将来は、オペレーショナルな氷監視用のミッションには、能動型と受動型の二種類のマイクロ波センサーが用いられるべきであることが予見される。それらは重要な氷パラメータを観測するために、適切な解像度と範囲を持つからである。
高い解像度を持つSARデータの解釈は難しい。異なるSARパラメータの効果はあまり良く研究されていない。氷の物理的パラメータをSARパラメータに関係づける現在の散乱モデルは、充分良いモデルではない。SAR画像の自動氷分類アルゴリズムは、さらに開発される必要がある。
主な開発の傾向として、マイクロ波データ、特にSARデータは氷監視の重要なデータ源として、NOAA/AVHRRデータと置き換わることが予期される。また、多チャンネル、多偏波のSARデータの方向へ開発が進むであろう。これにより氷の種類をより良く分類することができるようになるからである。さらに、急速な計算機とネットワーク技術の発展と海上通信の改良により、船上における実時間の衛星データが多く使用されるようになるだろう。技術の発展は、またおそらく、データの流れと氷の監視活動の組織に変革をもたらすだろう。