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ユーザーの観点から見ると、氷サービス/センターは海氷監視に関連する全てのデータ、サービス及び情報の供給者である。衛星データ供給者の観点から見ると、氷センターは衛星海氷データの主要な顧客である。ほとんどの氷のデータおよび情報は、氷サービス/センターや気象予報サービス/センターを通じて組織化されている。これらの他に、専用のユーザーへ特別な氷情報を提供している多くの研究機関がある。これらは研究センター、コンサルタント会社、サービス機関および付加価値を付ける民間企業等である。

フィンランド、カナダ、ロシア等の国では、海氷監視に対して政府から重要な経済的な投資がある。これに加えて民間企業から氷サービスへ財務上の援助がある。船舶輸送機関は特別に、砕氷船支援のために海氷マッピングサービスに対して料金を支払っている。

海氷監視の市場は、増加している船舶交通と石油・ガスや北極域での資源探査の増加に伴い成長している。新しいユーザーと共に氷サービスへの要求がますます増えつつある。現在の氷センターは活動を拡大し、新しい会社がサービスを確立させる機会が現れると予測される。

 

5.3 現状の衛星データの役割

 

衛星データは長年、海氷監視のデータソースの一部として使われてきた。これまで最も普通に使われてきたデータは、NOAA/AVHRRデータ(可視及び赤外線データ)とDMSP SSM/Iデータ(受動型マイクロ波データ)である。しかし、これらのデータは雲に覆われる、あるいは分解能が粗いという限界がある。それゆえに、これらは詳細で定期的なデータを要求する地域的な海氷マッピングに最適であるとは限らない。

100mの解像度を持つERS-1 SARデータは、1991年以来、世界中の多くの海氷研究とデモンストレーションプロジェクトのために用いられてきた。SARは高い分解能を有し、気象に依存しないという理由から、海氷観測に対して大変強力なセンサーであることが証明されている。そして、オペレーショナルな海氷監視の主要なセンサーになることが計画されている。

気象予報に用いられている気象衛星のような、専用の衛星は海氷監視に対してまだ最良のものになっていない。1996年からカナダが運用しているRADARSATの第一の目的は海氷監視である。これはオペレーションに用いることを基本原理としており、今後も氷に覆われた領域のSARデータを供給する予定である。

RADARSATと共に衛星による海氷監視の新しい時代が始まった。しかし、商業用の衛星データはむしろ高価であるので、カナダまたはアメリカ以外の氷センターによって、これらのデータがどの程度の頻度で使用されるか、まだ確かでない。

 

 

 

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