2.5.1 陸上域
図2.17(a)はオホーツク海周辺の陸上域における気温データとSSM/Iデータを比較するために任意の4地点を表したもので、19,22,37GHzは共に1年を通して気温の変動と良く一致しており、図2.18に見られる相関係数も一般に高い。また、図2.17(a)における37GHzの時系列に着目すると、19GHzや22GHzに比べて冬季に輝度温度が大きく低下していることがある(例えば、No.001,027,070の地点)。一方、No.107の地点では、19,22,37GHzはほぼ同じ変動をしている。これは、No.001等の地点における積雪がNo.107よりも多いことを示しているようである。
2.5.2 海氷域
図2.17(b)は、冬季に海氷に覆われやすい海域における、気温データとSSM/Iデータを比較したものである。年間の傾向をみると、気温は冬季に低く夏季に最も高くなるものの、SSM/Iの輝度温度は一年のうちで冬季に海氷が存在する時期が最も高く、海氷のない初冬(11月頃)に最も低くなる。図2.18における相関係数では、一年を通して見た場合、負の相関があるように見える((a)〜(c)の青い所)。しかし、図2.17の時系列からわかるように実際の時間変動には両者に負の相関があるとはあまり言えない。ところが、数日〜数週間程度の変動に着目した場合には、海水域や海氷域でも気温と似たような変動を示すことも多く、大変興味深い。また、一方では海氷面における輝度温度と気温の変動が逆相関をなしているところも見られる。
2.5.3 海水域
図2.17(c)は、冬季でもほとんど海氷に覆われない海域(1994年冬季の場合)における時系列図である。年間を通して見ると、陸上域ほどの差がないものの、気温と輝度温度は共に冬季に低く夏季に高くなる(海氷域が2月上旬と3月下旬に含まれるNo.079の地点を除く)。また、図2.18における相関係数を見ると、気温と輝度温度の相関は低いものの、前に述べたように数日程度の時間変動に着目した場合には、両者が似たような変動を示しているところも多い。