日本財団 図書館


2.6 まとめと課題

 

マイクロ波放射計によって得られるSSM/Iデータを用いた海氷観測について、海氷密接度の推定を行うことにより、主に画像との比較からその有効性について調べた。その結果、オホーツク海全域における海氷分布をみるというような比較的大きなスケールについては基本的に問題なく、非常に有効であることがわかった。また、今回の研究の結果、本来極域用に開発された海氷密接度推定アルゴリズムも、フィルタの改良や追加を行うことによってオホーツク海でもかなり使える形にすることができた。しかし、疑似海氷域を低減させることはできたものの、北海道や東北地方の沿岸域では除去し切れておらず、さらに別の手法も検討しなければならない。

また、SSM/Iデータは比較的入手しやすいものの、他の衛星データと比べて解像度がよくないため、小さなスケールでの海氷観測には不向きであり、高価ではあるがRADARSAT等のデータと組み合わせて考えていく必要があると思われる。

 

参考文献

 

Comiso,J.C.(1996): Sea Ice Geophysical Parameters in the Arctic and the Sea of Okhotsk

Using Multichannel Passive Microwave Data, 日本リモートセンシング学会誌 Vol.16

No.2(1996) pp.32-46.

地球環境のマイクロ波放射計リモートセンシング,気象研究ノート第187号(1996)

長、佐々木、下田、坂田、西尾「オホーツク海におけるSSM/Iデータを用いた海氷密接度推定アルゴリズムの評価と改良」日本リモートセンシング学会誌Vol.16 No.2(1996) pp.47-58

館山、榎本、高橋、百武、西尾「DMSP SSM/Iの85GHzを使用したオホーツク海の海氷の観測」第13回オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集 pp148-153

Comiso,Cavalieri,Parkinson and Gloersen(1997), Passive Microwave Algorithms for Sea Ice Concentration : A Comparison of Two Techniques, REMOTE SENS.ENVIRON.60:357-384

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION