2.4.2 画像との比較
前年度の報告書ではRADARSATのScanSARモードによる観測結果が述べられている。その中では、RADARSATとNOAA可視画像や流氷レーダー等の資料との比較が行われているが、ここでは上述したSSM/Iデータによる改良アルゴリズムの計算結果を中心として、オホーツク海南部を中心に各画像や資料との比較を行った。SSM/IデータとRADARSATは解像度が大きく異なるうえ、対象とするデータと画像に時間的なずれがあるために詳細な比較は難しいが、北海道沿岸付近の密接度の高い海氷域や知床半島の北に分布する海氷の少ない海域等、改良した密接度推定アルゴリズムによる分布図はよく表現されていると考えられる(図2.13および図3.1〜3.6との比較)。また、観測船やヘリからの映像と計算結果の比較については、空間スケールおよび取得時間の違いから両者の正確な比較が難しいものの、北海道沿岸のオホーツク海周辺域におけるSSM/Iの計算結果は実際の海面状態よりも海氷密接度がやや低めに見積もられているように感じられた。なお、参考までにヘリおよび船舶からのビデオ画像を図2.15(a),(b)に、その観測ルートを2.15(c),(d)に示す。
2.5 気温と輝度温度の時系列の比較
ここまで、SSM/Iデータそのものについて解析してきたが、輝度温度は気温の影響も受けることから、この章では気象庁GANALデータの気温とSSM/Iデータの輝度温度の時系列を作成し、その時間変動における両者の相関性についても調べた。図2.16は時系列の比較を行った地点を表すオホーツク海およびその周辺の地図で、位置は緯度経度1度の単位で印してある。ただ、1格子の大きさはGANALデータについては約1.875×1.875度、SSM/Iデータでは約2.0×1.8度で両者の格子位置が一致しないため、実際に比較を行う場合は抽出地点を含むそれぞれの格子の値を使用した。図2.17(a)〜(c)には陸上域、海氷域、海水域における任意の抽出地点における気温と輝度温度の時系列をそれぞれ4例ずつ示した。また、図2.18は、オホーツク海を含む周辺域における気温と各周波数別の相関係数を色分けして表したもので、赤いほど相関が良いことを示す。(a)〜(c)は1994年1年間について、(d)〜(f)は冬季(1〜3月)についてSSM/Iの周波数別に計算したものである。