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2.2 NASA TeamアルゴリズムとBootstrapアルゴリズムの比較

 

SSM/Iデータを使用したオホーツク海の海氷密接度推定に関して、まず、NASA TeamアルゴリズムとBootstrap(Comiso)アルゴリズムを使用してオホーツク海における両者の違いについて再検討を行った。1994年冬季の計算結果のうち、3例を図2.1〜2.3 (a)および(b)に示す。これらのアルゴリズムによる計算は共に、Comiso et al. (1997)に基づく極域(北半球)のパラメータが用られている(表2.1)。また、図2.1〜2.3の(c)は、両アルゴリズムにおける密接度の差を表したものである。これらの結果を見ると、一般的には、BootstrapアルゴリズムはNASA Teamアルゴリズムと比較して密接度の大きい海域では高いことが多い(例えば、オホーツク海北西部やShanterskey湾付近からサハリン島東沖にかけての海域)。一方で、Teamアルゴリズムは比較的密接度の小さい海域でより高い結果となることが多い(海氷域縁辺部や沿岸海域など)。また、気象衛星NOAAの可視画像(図2.4(b)〜(d)が対応)や気象庁海氷図(参考:図2.19)と比較すると、全体としてはBootstrapアルゴリズムの方がもう一方よりも実際のオホーツク海の海氷分布に近い様子を表していることが多いように思われる。なお、Comiso et al.(1997)によると、オホーツク海の北西部は北半球(極域周辺)で両アルゴリズムおける計算結果の差が最も大きく現れる海域になっている。

 

2.3 オホーツク海への適用

 

2.3.1 Bootstrapアルゴリズムのパラメータ変更の検討

 

本研究では、オホーツク海にふさわしいアルゴリズムを構築するため、NASA TeamアルゴリズムのTie PointやBootstrapアルゴリズムのSlopeやOffset等を変更して海氷密接度を計算し、さらに改良していくことを検討した。

しかし、比較対応させるべき観測データや画像の不足などから、残念ながら効果的な改良と思われるような各数値の決定には至らなかった。参考までに、1994年の10例分をまとめた19GHz,V vs.37GHz,Vの輝度温度分布(陸上域のデータは含まれない)を図2.5に示す。なお、オホーツク海は多年氷がなく、全て一年氷であることから37V vs.37H ではなく19V vs.37Vを選択した。

このため、本研究ではオホーツク海の海氷分布に近い状態を表していると考えられるBootstrapアルゴリズムをそのまま使用し、その他のフィルタ等を改良・追加し、よりオホーツク海に適する密接度推定アルゴリズムを作ることを目指した。

 

 

 

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