3.2 通信衛星(CS)を活用した同報
3.2.1 開発の目的
昨年度の調査において、通信衛星(CS)を活用することのメリット/デメリットとして以下に示す事項を抽出した。
(1) メリット
・情報伝達が確実
有線の伝達手段に比較して、地震時における情報伝達確実性高いと考えられる。
・サービスエリアが広域
ほぼ日本全土をカバーする広域なエリアに情報提供が可能である。
・情報の2次的活用が可能
RS232Cによる外部出力信号により、受信したユーザがさらに2次的に活用することが可能である。
(2) デメリット
・設備投資が高額
受信用の設備機器に高額な投資が必要と考えられる。
・受信システムの携帯が困難
通信衛星から電波を受信しなければいけないため、受信機器を固定して使用することになる。
これらを踏まえ、プロトタイプを作成し、伝達手段として基本的性能を把握することが実験に関する課題として残されていた。
既存の他の情報伝達手段と比較して、情報伝達の迅速性や確実性に優れた方法と期待されるが、即時的情報の伝達手段としての適性を実際に確認する必要がある。
このため、今年度はまずプロトタイプの受信システムを作成し、それを用いて実運用時にどの程度の時間を要するのかを把握することを目的とする。
なお、実験においては、財団法人日本気象協会の保有する衛星回線を利用した。この回線は、気象情報配信システムに用いられているものではない、9.6kbpsの通信速度のものである。
参考のため、財団法人日本気象協会のCSを利用した気象情報配信システムに関する資料、実験用CS機器構成に関する資料、ユーザ側のシステム導入費用に関する資料を、それぞれ資料6、資料7、資料8に示した。