3.1.7 今後の課題
今回の調査において、現行のシステム運用の中で実施可能な改良を施し、その実現を確認したが、そもそもポケットベルの現行の運用方式は、伝達時間をできる限り短くすることを念頭において構築されたものではないため、即時的情報の伝達手段として考えれば、さらに検討を行っていくことが必要と考えられる。
以下に、今後さらに検討すべきと考えられる事項を示す。
・複数フレームヘの優先処理、あるいは複数フレームに対応したポケットベルの開発
ポケットベルは、あるフレーム・グループに登録され、そのフレームからの情報のみを受信するという運用がなされている。そして、その1つのフレームは、30秒に一度の間隔で情報発信をしている。したがって、優先処理を施したとしても、伝達時間は、その間隔にしばられてしまうことになる。この方式の中でより伝達時間を短くするためには、複数のフレームに対し優先処理を施すか、受信側でどのフレームからの信号でも受信することが可能な端末装置を開発・製作することが必要であり、そのような改良を施すことで、符号化処理における遅延時間を短縮することが可能となると想定される。
例えば、単純に2つのフレームを占有して情報発信するとすると、情報の発信は、15秒間隔で行われるようになることから、それだけで所要時間の大幅な短縮が可能である。
・受信端末における高速処理の実現
ポケットベルの受信端末においては、電波状況などにより受信情報が不完全な場合、エラーチェックを行い、さらに30秒後に送られてくる再送信号(基本的に、現行システムでは同じ情報が2度送信されている)をもとに情報の構築を行っている。そして、エラーなく受信できたと判断した場合に受信音を発することとしている。今回の伝達時間測定実験においても、3つの端末に受信時間差が生じたが、それは、それぞれの端末における処理時間の差にも因っているようである。このことから推察しても、この受信端末側の処理機能についても高速処理を追求したものとは考えられないことから、即時的情報の伝達手段とするためには、より高速な処理を実現するように改良することが必要である。