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TGV(デュプレックス型)では、高齢者・障害者への対応を行っている。具体的にみると、アクセスしやすいように乗降口のステップは一段である。一等車の内部には車いす使用者専用の「低位置」まで階段を下りずにいけるよう、リフトが備えてある。バーおよび食堂車に行く場合は、その席にある特別呼び出しボタンで係員を呼び出すことが可能である。ひじ掛けの高さは調節可能。但し座席に行くには一段の段差がある。2階席は席上でレストランのサービスを受けることができ、2階へはエレベーターでアクセスできる(写真:図7-15参照)。

 

(3) 将来計画、構想

1] 全体的な方針

フランス国鉄では、「家」→「出発駅到着」→「列車に乗る」→「目的駅到着」→「目的地到着」のすべての過程での制約解消を目指している。現在、最も重要な課題は、1]人員体制の整備、2]人材教育、3]周知・啓発活動、の3点である。

フランスには3,600の駅があり、そのうち50駅が大規模な駅である。この50駅を含めた200の駅で障害者対策が施されるならば、かなり多くの移動制約者が移動できるようになる(既に100駅で整備完了済み)ため、これらの対策を是非、ヨーロッパ全土に広めたいと考えている。

これまで車いす使用者かどうか等の情報がフランス国鉄のコンピューターの端末に登録されていなかった。今後は、このような状況を改善し、車いす使用者が気軽に乗車できるような対策を講じていく方針である。

 

2] 駅舎へのアクセス等

次の点を重視している。

・障害者応対係の提供する情報をさらに増やすこと。

・駅舎内の障害者を手助けする担当者の配置(無償サービスとして)。

・TGVを利用する障害者向けのガイドヘルパーサービス(試行)

・障害者応対係への教育(特に視覚・聴覚障害者および精神薄弱者への対応について)。

 

3] 車いす使用者のための計画もしくは実施中のプログラム

次のプラグラム等を実施している。

・一等車両の客車がトイレに出入りできる工夫についての研究していく。

・TGV(トランシュマンシュ型)の車両に車いす使用者専用の場所を設け、車いす使用者がアクセス可能なトイレや高さ調節可能なひじ掛けのある座席を設置していく。

・車いす使用者がアクセス可能な場所にトイレを設置していく。

 

 

 

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