(4) 障害者団体との関係
障害者団体のメンバー(障害者)にアドバイザーを依頼している。
移動制約者の各種団体のなかでも、視覚障害者団体、身体障害者団体等の利害が一致せず、移動制約者対策に対する優先順位をめぐり、議論が生じることがある。フランス国鉄としては、これらの議論とは一定の距離を持ちながら、移動制約者全体に対して最大限の対策を講じていく方針である。あわせて、健常者の利便性も向上させたいと考えている。
(5) 資金調達等
フランス国鉄は、移動制約者対策に関する財政補助を国から受けていないが、国鉄全体では、国から財政援助を受けている。従って、フランス国鉄内部で、国からの補助金を、移動制約者対策に充当できるようにしている。なお、地方都市間鉄道での移動制約者対策は、各地方が管轄しているため、フランス国鉄は意見を述べる立場に過ぎない。
(6) その他
フランス国鉄は民営化により独立法人となったため、CORITRAHから障害者対策に関する了承を得る必要はないが、同機関との協力関係を継続している。
国鉄改革の結果、1998年1月1日よりインフラ(駅舎、軌道敷等)の所有と運営の分離がなされ、駅舎は自治体の所有になり、駅舎を改修した自治体はその費用を駅舎利用料としてフランス国鉄から徴収することとなった。その結果、既に同じ区間であっても、出発する駅の利用料の違いで運賃に差が生じている。将来的には外国の列車等も乗入れてくるため、軌道の通行料を自治体等に支払うようになる。
今後労働人口の20%に相当する規模の高齢者が増加すると予測されており、今のうちにフランス国鉄が移動制約者対策を講じておかないと、その利用者が大幅に減少し、その代わりにマイカーや他の交通手段に利用者がシフトすると恐れがある。そのようなことを未然に防ぐためにも、フランス国鉄は、高齢者・障害者への対応を進める方針である。