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2] 州レベル

法的管轄権の問題により、州は交通事業体になることが認められていないため、専ら交通企業や市町村へ財政支援することで事業推進を図る体制となっている。

それぞれの州が、各州の法律に根拠づけられる助成基準を設けている。よって、州によって内容に差があるが、公共交通のためのインフラ整備とバスや鉄道車両の購入等を基準に基づき州が助成するシステムとなっている。

 

イ.ヘッセン州の助成制度(例)

助成するにあたり州では「移動制約者に配慮しなければならない」という条件を定めている。(州によってはこの条件がふされていないところもある。)また、低床式バスの補助要件として「車両等の助成に関する指導要綱」の中で、特に以下の条件を満たす必要があるとしている。

●段差が360mm以内(許容誤差±20mm)の乗降口が2カ所にあること。

●1番目の乗降口と2番目の乗降口との間の車内床面を横切る段差がないこと。

●乗降口のステップを自動的に下げる装置(ニーリング)を備えていること。

 

負担割合については、鉄道駅の場合、所有者がドイツ鉄道、ヘッセン州、市町村等となっているため、駅のホーム改修工事は、州、市、ドイツ鉄道の間で費用負担割合を決める。また、駅の施設のうち障害者施設と認定されるものは、州85%、市町村15%の負担割合となっている。

列車の改造(スロープ付、リフト車両)の場合は、ドイツ鉄道15%、州85%の負担割合となっている。

その他の助成対象と負担割合は以下のとおりである。

 

a) 車両(補助率は通例30%〜50%)

●車いす使用者用の乗車補助装置と車いすスペースを備えたノンステップバス

●車いす使用者用の乗車補助装置と車いすスペースを備えた低床LRT

●車いす使用者用の低床乗車口と乗車補助装置と車いすスペースを備えた鉄道車両(1列車に少なくとも1台)

●バスと鉄道車両への乗車補助装置の追加装備、および障害者に対応したその他の改造

 

b) インフラ(補助率は通例80%〜90%)

●ノンステップバスおよび低床LRTの床面高さに合わせたバス停・停車場のかさ上げ

●地下鉄や都市鉄道の駅および鉄道駅のエレベーター、および障害者に対応したその他のプラットホーム・アクセス装置

●プラットホームのかさ上げ/駅の改造

●障害者に対応したP+R設備

●聴覚的と視覚的旅客情報設備

 

 

 

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