●移動制約者のための行動プログラムに関する1992年12月16日のEU交通大臣会議の決定
●公共交通機関を移動制約者に対応させるための技術的基準に関するEU提案
(2) ガイドライン
高齢者および障害者のための公共建築物についての工業規格-ドイツ工業規格(DIN)18024号「バリアフリー建築」がある。これには、公共交通空間および公共のアクセスしやすい建物、職場についてまとめてある。これは、「指針」と同様に計画策定の根拠として用いられる。但し、建築条例および建築推進に対する立法権限に基づく拘束力を有する規定を導入できるのは、基本的に連邦諸州のみである。
バスおよび市電を含めた公共交通機関について、障害者に適した規格および基準を集大成した手引きがある。
(3) 関連機関
連邦政府レベルでの移動制約者対策の管轄機関は存在しない。
そこで、これら重要な問題については、交通省と協力する障害者交通問題担当の作業グループ「障害者に適した公共交通の作業集団」が設置されている。そのグループでは都市研究をはじめ、障害者に対応した交通のあり方や障害者用の情報システム等の研究が行われ、その成果が公開されている。研究成果は、次のようなものがある。
1992年「低床交通システム-停留所の構築」ガイドライン
1992年「市民の親しみやすい、障害者に適した道路空間の構築」ガイドライン:移動制約者に配慮した公共建築物の任意規格DIN18024
バスおよび市電等の規格、基準
1994年「新州における都市部分の平面的な交通安定のための勧告」:移動制約者対応に重視したガイドライン
また、交通における州の役割が州によって異なる。例えば、バイエル州、バーデン=ヴェルテンブルグ州では、州が交通政策決定の権限や責任などを持ち、ヘッセン州では現場を重視する立場から、市町村に直接責任を持たせることにしている。
(4) 支援制度
1] 国レベル
連邦政府による助成は、前述した地域交通助成法に基づいて支給される。
また、ドイツ鉄道(長距離)に対しては連邦政府が助成を行う。但し、駅自体は長距離と短距離の両目的に用いられることから、連邦・州・市町村・ドイツ鉄道の費用負担の割合は一律でない。ドイツ鉄道の駅舎については(Sバーン)、駅のある市町村がインフラに関する整備費の10%を負担し、資産自体はドイツ鉄道が保有する。
公共交通機関を利用できない一部の重度障害者に対するSTサービスについては、連邦政府として支援は行っていない。