以上のような移動制約者に配慮した整備の助成申請は、すべて承認されている。年間の補助金額は増加傾向にあり、1994〜1997年のおおよその補助金額は次のとおりである。
ノンステップバス 5,800万マルク(年間1,450万マルク)
低床LRTと低床鉄道車両 1億3,400万マルク(年間3,350万マルク)
インフラ施策 約4,000万マルク(年間1,000万マルク)
1994〜1997年の総額 約2億3,200万マルク(年間5,800万マルク)
1997年時点で、ノンステップバスの実用化について解決すべき点があったため、従来型標準バス(床高)についても州は補助額を抑えながら少数の助成を行っていた。
なお、ヘッセン州が市町村に支給する補助金の出所は、大きくわけて3タイプある。
●連邦政府から地域交通助成法(GVFG)に基づき1.5億マルク
●連邦政府から鉄道助成法に基づき10億マルク(うち1.5億マルクが移動制約者対策)
●州から3億マルク
その他、自動車利用抑制し公共交通機関の整備促進を図るために、建設・運営に対する助成が行われており、ガソリン税の60%(最大)を公共交通に補助する。運営費は連邦政府が50%、自治体が30%、車両費についても補助する。さらに、公共交通への誘導のために各都市で運輸連合を組織し、共通運賃制度やゾーン運賃制度導入等わかりやすい運賃体系と低い運賃水準を維持させ、不足分を公的補助金で賄う政策が確立されている。経費の22〜70%を運賃収入で賄えばよい。
ロ.バーデン=ヴェルテンブルグ州の財政支援(例)
新しいLRT、バスの購入については、連邦、州、市経由で補助金を支給する。
助成条件については、ノンステップバスの場合、8年間で40万km走行を行うことが指定されている。これは別目的(チャーターバス等)に利用されることを防ぐためである。
補助率は、LRTは購入金額の50%、バスは購入金額の40%となっている。
公共交通を利用できない一部の重度障害者に対しては、近距離の範囲内で、地域的な専用運行サービスが実施されている。これら専用運行サービスの実施、条件やサービス内容(運行回数、運行サーヒス組織、利用者の負担等)については、地方自治体および郡にすべて委ねられており、その費用負担は大半が地方自治体および郡が負担する。
3] その他
STサービスについては、社会保険機関が場合によって費用を負担する。また、障害者度70%54(運動能力が著しく損なわれている場合は50%)以上の障害者は、毎日の通勤費用を課税対象所得から控除することができる。
3. 国別でみる取組み
フランス、ドイツおよび日本の取組みとを比較するため、表8-1にまとめた。
54 「障害度」の説明については、表10-2参照。