5章 調査対象都市の比較
1. 各都市の位置づけ
2章、3章、4章において、欧州都市、わが国の都市における対応について述べた。これを踏まえて、本章では、公共交通における大量輸送および個別輸送(主にSTサービス)に関して、かかる都市における高齢者・障害者への対応がとのように異なるのか比較を試みている。わが国3都市(金沢、熊本、横浜)の対応が、欧州都市のそれと比べて、どのような水準にあるのか探ることを目的としている。
調査対象都市を面積、人口の観点からみると(フランクフルト及びイルドフランス圏については広域圏のデータのため、図には含めていない)、図5-1が示すとおり、横浜、ベルリンといった大都市を別とすれば、調査対象都市は主に地方の中心都市である。
2. 大量輸送
その都市の公共交通における大量輸送(バス、路面電車等)が、どの程度市民に浸透しているか、また、それらは、との程度乗降しやすいものとなっているかを調べた(一覧表については、表5-8参照)。
(1) 大量輸送の利用水準
大量輸送の交通手段分担率(交通手段に占めるバス、路面電車等の利用の割合)をもとをもとに、比較を行った47。
表5-1が示すとおり、金沢、熊本における大量輸送(バス、路面電車等)の利用水準は、今回往訪した欧州都市と比べて低い可能性がある。また、この点を別の角度から確認するため、各都市における大量輸送(バス、路面電車等)の年間乗客数を人口で除した数値を計算した。この値は、当該都市における住民が1人あたり年何回バス、路面電車等を利用していることになるかを示している。
47 但し、交通手段分担率の計測方法は都市により異なる可能性があることに留意が必要。