今後のバス導入計画(1998年度)は、市交通局は従来型のバスを含め13台を予定しており、そのうちノンステップは3台である。その他、民間事業者は、九州産業交通が超低床バスを4台、熊本電鉄がノンステップバスを1台導入する予定である。
なお、市交通局では移動制約者対策として、ノンステップバスを導入していく方針で、1999年度も1998年度同様に、ノンステップバスを3台導入することにしている。
車両購入に対する補助は、民間事業者に対しては県(単独)からの割増価格分補助を受けている。
ロ.停留所
歩道の幅員が狭く、車いす使用者の通行が困難な停留所が多い。利用者の多い停留所ほど、歩道の幅員が狭くなっている。
2] 路面電車
イ.低床車両開発の背景
超低床式電車は、自動車交通から公共交通機関への利用の転換を推進するための公共交通体系整備の一環として、また、市総合計画に掲げる「人にやさしい乗り物への転換」の一環として導入することとなった。
その経緯については、1990年に市交通局が、路面電車を有効活用し、より便利で快適な都市内交通機関とするための調査研究を開始した。この調査で、欧米では無公害・低騒音の路面電車が見なおされ、超低床電車が普及していることを知った。
1991年3月には「熊本市電21世紀ビジョン」を作成し、超低床電車の導入を進めることを決定した。そこで、日本のメーカーに車両開発を依頼したが、製造台数が少ないため、コストが割高につくことが判明し、開発を断念することとなった。
1994年12月に独の車両メーカーADトランツ社(前AEG社:親会社ベンツ)が1990年に開発した超低床電車を、新潟鉄工所で製作することになった。その上で、超低床電車を日本の軌道上での走行について関係官庁と調整を行った。そして、1996年に新潟鉄工所と車両製造契約を結び、1997年8月にわが国で最初の超低床車両を運行することになった。
超低床電車の製作費用は2両連結で約2億2,000万円で、うち約6,000万円が自治省の公営交通バリアフリー化促進事業の補助を受けている。
また、低床車両導入に対して、障害者団体(「障害者から見た評価」P63参照)や市民団体等の活発な活動も低床車両導入に大きな影響力を及ぼしている。
ロ.運行・利用状況
利用状況は、1日に2.5万人〜2.8万人が利用している。年間1,000万人強の利用者がある。車いす使用者の利用状況は、1日につき1人弱(0.6人/日)である。
運行している車両は3種類あり、それぞれ床面の高さ等が異なり、移動制約者への対応も表4-5に示すとおりである。
ソフト面の整備状況では、超低床電車に車掌(Lパーサー:女性)が同乗し、ドアの開閉やアナウンス等を行う。