なお、上記チケットで、通常のタクシーを利用することも可能であり、上記200万マルクのうち、140万マルクは通常のタクシー利用に用いられている。事前予約がいらない、人目を気にする必要がない等の理由から、重度障害者や電動車いす使用者を除く歩行障害者が、通常のタクシーを利用している。従って、STサービスヘの市の補助額は60万マルクにとどまる。
ロ.事例(シュツットガルト身体障害者協会)
ここではシュツットガルト身体障害者協会での事業を例として説明する。同協会の提供するSTサービスは、シュツットガルト全体のSTサービスの15%程度を占めている。
営業時間は7時〜22時(22時以降は事前許可を得て利用できる)。
車両については、同協会保有のスクールバス12台のうち2〜3台をSTサービス用にも利用する形となっている(写真:図7-21参照)。
運転手は、良心的兵役忌避者と学生アルバイト合計35人がスクールバスを運行しており、その範囲で、STサービスの運行も行う。なお、良心的兵役忌避者については、同協会が1,000DM/人・月を負担し、残金は連邦政府が負担している。因みに、将来的に、兵役義務自体がなくなった場合に、STサービス従事する若者の確保が難しくなるため、同協会は、今後の人員確保に不安を抱いている。
運行実績は、年間600〜800人程度である。
(4) 市役所の対応
1] 全体的な考え方
10〜20年前までは、障害者には専用交通で対応すべきとの考えが大半を占めていたが、現在では障害者も公共交通に参加すべきとの考え方に変わってきている。
障害者に普通の生活を送ってもらうことが目標であり、ベルリン市のようにSTサービスに重点を置き過ぎるとコストが嵩むと認識している。一方で、独力で外出できない、あるいは目的地に行けないという人々が大勢いる以上、公共交通機関に障害者がアクセスできるようになってもSTサービスは必要であると認識している。公共交通機関を充実させることと、自宅→駅→目的地間移動のためのSTサービスを充実させることの両方が重要であると考えている。
2] その他(ガイドブックの作成)
シュツットガルト市では、車いす使用者を対象とした350ページに及ぶ施設ガイドを作成しており、行政機関、交通機関、病院、劇場、教会、レストラン等について、車いすの人が利用可能かどうかという観点から3つの観点評価を行っている。