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2] LRT

ストラスブールがLRTとして路面電車を復活させた経緯は、市中心部がUNESCOの世界遺産に登録(1988年)されたことを受け、自動車等の排気ガスが主な原因と考えられている酸性雨等による当該世界遺産への被害を未然に防ぐために、同市中心部への自動車交通の乗り入れを規制、その実現手段としてLRTを新設したことによる。

このため、LRT開業とあわせて、車に対しては都心迂回のバイパス(環状道路)を建設、LRT沿線には車からの乗換利用のための駐車場整備(パークアンドライド:P+R)を行っている。さらに都心での歩行者専用ゾーンの拡大、都心地下駐車場や自転車道路網の整備、LRTとリンクしたバス路線網の大改革などが進められた。図2-4参照。

1994年に新設されたLRTは、低床車両(床面高35cm)を導入し、車両とホームの段差を10cm以下としている。

開業時の問題点としては、障害者の乗降にはバスと同様のパレットを用いていたため車いす使用者は傾斜のきついスロープを昇降しなければならず、利用者に不評であるとともに乗降時間に時間がかかり過ぎる(平均3分)ことであった。

そこで、パレットは廃止し、全てのホームの一部を高くし、そこでは車両とホームの段差をなくすことで、車いす使用者が直接乗降できるようにした。停留所には、車いす乗降場所の目印を表示している(写真:図7-13参照)。

 

(4) 市役所(含む県)の対応

1] 市、交通事業体の取組

LRTの駅舎やバス停について、CTSは市内の障害者団体は毎月定期的に改善策等に対する意見交換を行っている。

現在の市の方針は、市内にあるLRTとバスを合せた960ヶ所の駅・バス停について、低床車両に合せた工事を順次行っていくのではなく、重要度(利用頻度)の高い駅・バス停のアクセシビリティ向上を優先する方針である。同時に、CTSは、「障害者がLRTやバスにアクセスできること」を障害者や健常者を問わず一人でも多くの人々に周知していくことが重要と考えており、今後、広報活動に積極的に取組んでいく予定である。

 

2] 運賃

学生割引や敬老割引はあるが、障害者割引(健常者との区別)はない。唯一、視覚障害者に対する割引制度(50%引き)があるだけである。

また、障害者の介助者の運賃は無料である。

 

(5) 非営利団体の活動例

1] SOSサービス

イ.歴史的経緯

フランス国鉄所有施設の一角を無償で賃借する形で、緊急援助を要する人に24時間対応でサービスを提供している。

 

 

 

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