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5] ガイドヘルパーサービス

イ.沿革

ガイドヘルパーサービス(Les Compagnons du Voyage)は、「子供が平等に学校に通う権利」を定めた法律に基づき、視覚障害を有する児童のために20世紀初頭から「自宅-学校間のガイドヘルパーサービス」を行ってきた非営利法人が、1993年に組織改正され、フランス国鉄(SNCF)、パリ運輸公社(RATP)の支援を受けて、サービス提供の対象者を広げて、ガイドヘルパーサービスを提供するようになったものである。

 

ロ.サービス内容

イルドフランス圏内で、自宅から目的地までの全行程を公共交通で利用することが困難な人に対し、有償でガイドヘルパーするサービスである。年中無休でサービス提供が行われている

月曜日〜土曜日(午前6時〜午後7時)

日曜日・祭日(午前9時〜午後6時)

 

ハ.サービス対象者

視覚障害を有する児童以外の対象者としては、杖の使用者、視覚障害者、聴覚障害者、精神薄弱児(者)、高齢者となっている。なお、車いす使用者は対象外となっている。車いす使用者以外とする理由は、RER(地域高速網)利用にあたって、車いす使用者は駅で乗車のための特別サービスを既に受けているとされているからである(乗車駅での駅員による電車までの介助、降車駅への連絡、降車駅での駅員の待機と出口までの介助)。

 

ニ.料金

視覚障害を有する児童のガイドヘルパーについては、通学先が所定の費用を負担している。それ以外のガイドヘルパーについては、1時間あたり70フランの有償サービスとなっている。

視覚障害を有する児童以外のガイドヘルパーについては、当初、無償であったが、それでは利用者が遠慮して行きたいところへも行きにくくなるということで、その後、有償サービスに切り替えられた。また、有償化の背景には、若年層の雇用対策という側面もある。すなわち、ヘルパーとしての新しい職業として位置づけたいと政府は考えている。

 

ホ.サービス実績

1997年は9万件のガイドヘルパーサービスを実施(96年は7万5千件)した。但し、サービスの中心は、視覚障害を有する児童が依然中心で、全体の6割を占めている。利用者数は270人/日(登録者は子供400人、大人100人の合計500人)。実績例は次の通り。

・4歳女児:視覚障害者。学校を地下鉄で往復。

・44歳男性:自閉症の視覚障害者。地下鉄-バスを利用して、週1回、外を散歩。

・69歳男性:視覚障害者。地下鉄を利用して、週1回、友人との会合に参加。

・92歳女性:孫の結婚式出席のため、利用。

 

 

 

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