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表2-14 フランスにおける地下鉄での移動制約者対策

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郊外鉄道

パリの郊外鉄道(RER)では、車両に乗り込むときに、ホームと車両の間に高さおよび隙間が生じている点が問題となっている(写真:図7-3参照)。現在、ホームの高さは3種類あり、統一されていない。それぞれの高さは30〜50cm、55〜60cm、80〜100cmとなっている。車両の床の高さは90〜120cmであることから、ホームと車両の間には最高90cmの段差が生じることになる。また、隙間間隔は10〜20cmである。この結果として、イルドフランス圏では、駅の約12%(表2-15参照)においてのみ、車いすでアクセスすることが可能となっている。

駅舎についてみると、RERのA,B線の約40の駅では、車いす使用者が駅員を呼べば、リフトやエレベーターを使って構内を移動できる。このA,B線では、車いすの人が利用できる駅では、駅名の横に車いすをあらわす標識を描く予定である。さらに、A,B線では、乗客の改札をより容易にするよう、押し戸式改札口を、係員が遠隔操作で開閉できる改札にできうる限り作り替えていく。RER E線が(パリ郊外の東西を結ぶ)1999年秋に運行開始となり、車いすでのアクセスが完全になされる。

RERのC線の地下駅では、ホーム上および改札近くにカラーモニターを設置し、各駅の乗客に現在時刻、次に来る電車6台とその待ち時間が掲示され、他の鉄道路線を含んだ障害者向けおよび一般者向けの利用上の情報も掲示している。D線のいくつかの駅も既にこのカラーモニターを設置している。

RERの81カ所の駅では、障害者がより乗車しやすいよう、政府/地方間の契約をかわし、1998年から5年間で4億フランを投資していく。

 

表2-15 イルドフランス圏で、車いすのアクセスが可能な駅数

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ロ.視覚・聴覚障害者のアクセス

視覚障害者がアクセスできない駅は、イルドフランス圏の駅(地下鉄および郊外鉄道)全体の70%を占めている16。また、地下鉄のある他都市と比べた場合、車いすアクセスの場合と同様、イルドフランス圏の対応が最も劣っている(表2-16、表2-17参照)。

 

16 パリ市助役Jean-Charles de Vincenti氏調査(1998)より。

 

 

 

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