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ハ.STサービス

ラッシュ時には公共交通が利用できないこと、社会的弱者である障害者が公共交通機関で昼夜を問わず嫌がらせや脅しを受けること等から、公共交通を補完するものとしてSTサービスの充実が図られるべきである。

しかしながらSTサービスの車両台数は、10台しかなく絶対的に不足している。現実として、朝夕は通勤・通学する障害者でSTサービスは全て予約で一杯となる。一方、公共交通はラッシュのため利用できず、残された障害者は移動手段を完全に奪われた状態である。週末でもSTサービスの予約で一杯となり、鉄道や飛行機を利用するための移動手段がないこともある。

市当局は精神薄弱児(者)、視覚障害者の交通手段をSTサービスから公共交通にシフトさせようとしているが、精神薄弱児(者)、視覚障害者の中にはSTサービスを必要とする人もいるので、留意が必要である。市の論理に従うと、障害者の中で公共交通を利用できる人は社会参加でき、利用できる環境にない人はますます取り残されてしまうことになり問題である。実際に障害者が仕事を見つけても、通勤手段を見つけるのは厳しく、結局仕事を断念せざるを得ない例も多く見受けられる。従ってSTサービスの利用を制限しようとする市の動きに対しては、強く反対していく。また、最近危倶されるのは、この数ヶ月間、市当局が各障害者団体の連携を分断する動きに出て、障害者の交通手段を公共交通機関にシフトさせていく政策への反対を封じ込めようとしているように見うけられる点である。

また、サービス範囲がDISTRICT(ナント市を中心とする21自治体)内だけであり、それ以外の地域の障害者は大変な不便を余儀なくされている。具体策の一例として、いくつかの県では、農山村地域に居住する障害者のためにタクシー料金の補填をしているところもある。これらの障害者対策を受け入れる場合、行政当局に要望することは、安価な料金を設定することと、医者の診断書を求めないこと(障害者は病人ではない)の2点である。

 

ニ.その他

好きなときに移動できることが重要であり、同様に障害者自身が利用する自家用車の駐車スペースの確保も重要課題であるため、関係当局に現在働きかけている。この点では、グルノーブルが進んでいる(市内に障害者専用駐車場が120ケ所以上整備されている)。

 

 

 

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