ロ.交通アクセスに関する具体的活動
行政、議会への働きかけ
フランス各県に代表部があり、各県代表が「アクセシビリティ」に関する協会の利益代表として住宅、道路に係る自治体の施策や企業活動に対してアドバイスを行っている。例えば、当協会は身体障害者のための施策を有効に実現させるため、市議会の関係各委員会へ参加している(他の障害者団体も同様に参加)。
市議会の委員会では、建設、運輸、道路など障害者に関係する全ての委員会に参加し、アクセシビリティの向上を直接議員に訴えている。中でも、公共交通機関のアクセス向上に重点を置いているが、トラムやバスではアクセシビリティが向上しているものの、道路を改善しなければ意味がなく、個々のアクセシビリティが向上して初めて全体としてアクセスビリティが向上することを訴えていくことが大切であると考えている。また、公共交通を補完するものとしてSTサービスが重要と考えている。
直接の支援活動
1997年に、2,000人の障害者が通勤するにあたって、視覚障害者のためのガイドヘルパーサービスを行っている。このための費用を協会が負担している。仕事を通じて社会に参加できるということを非常に重視しているためである。また、社会参加のための研究に対し、年間6百万フランを援助している。さらに19百万フランは、個人に対して援助している。
1997年に、仕事以外でも、パラリゼドフランスは、障害者がバカンスをとるのを支援している。具体的には、2,200人の障害者がバカンスをとり、2,100人の健常者がガイドヘルパーを行っている。
2] ナントの交通に対する評価
パラリゼ・ド・フランスは、「全国的には移動制約者対策では萌芽期の都市が多い中、ナント市の対策は比較的充実している」と評価している。障害者が公共交通を利用できる機会が増え、健常者との壁が打ち破れた意義は大きく、現在では、障害者がLRT沿線に居住する傾向も一部で見られるとのことである。一方、交通モードについて個別にみると、依然として次のような問題を抱えているとのことであった。
イ.バス
ノンステップバスの場合も、車いすで乗り込んだ後、降車時のことを考えて180度向きを変えておく必要がある。しかし現実には周囲の乗客が回転スペースを空けてくれないために、身動きが取れないことがある。
ロ.LRT
全体として市の努力は見られるが、充実しているとは言えない。例えば、駅によっては車両とホームとの段差が大きくなっている。この結果、パレット(ホームと車両を結ぶ)が急勾配となり、車いすが転倒する事故も起きている。この段差を改善整備すべきである。