ハ.財政負担
実費との差額は、県が市町村を経由してタクシー会社に支払う仕組みである。
3] バス
イ.都市間パス
都市間を結ぶノンステップバスは、1995年に開発されたばかり。但し、都市間路線は悪路も多く、その普及率は低い。また、バス購入自体に県が補助金を出すことも行っていない。
都市間バス事業は、民間事業者がバスを所有した上で事業展開している。バス事業者と県との間で契約を結んでおり、7年契約の中に障害者に対する配慮を条項として盛りこんでいる。いわば障害者に対する配慮が、民間バス事業者の入札における条件となっている。
ロ.学童輸送用バス
視覚障害者には通常のバスを利用してもらっている。
車いす使用者は、予め登録の上でミニバス等による輸送を行っている。
4] 運賃割引制度
都市間バスについては、運賃割引制度があり、障害者は30%割引で利用することができる(介助者は無料)。ここでの差額は県が負担することになっている。
交通補助金を県から支給している。但しこれは低所得者に対する公的扶助の一部として存在しており、必ずしも移動制約者だけを念頭に置いた制度ではない。
(6) 障害者からの評価
パラリゼ・ド・フランス(肢体障害者協会)ナント支部に対してナントの交通システムについてヒアリングを行った。

イ.組織の概要
1932年に設立された肢体障害者のための全国組織である。「人間には、生活スタイルを決める権利、勉学の道を選ぶ権利、仕事を選ぶ権利がある」として、これらの権利を実現していくために、十分な交通モビリティ確保が課題であるとしている。
公の補助金、寄付金(1997年に60万人から受領)等をもとに、年間予算20億フランで運営を行っている。なお、公の補助金が全体の6割を占めている。
従業員(全国で9千人、給与あり)と会員(全国で4.5万人、給与なし)で構成される。
従業員の主な活動は、1)医療・健康教育、2)障害者の保護、3)障害者の生活補助、4)障害者向け施設の運営である。
ボランティアの主な活動は、1)障害者のために社会を改善するための要求・広報活動、2)障害者の孤立化を防ぐこと、3)障害者の人生が満ち足りたものとなるようなイベント活動(旅行の企画等)、4)障害者に対する個人的サービスである。