最近のサービス動向
過去3期の実績を見ると(表2-7参照)、利用者別では、視聴覚障害者が微減であるほかは、それぞれ増加傾向にある。とりわけ車いす使用者の利用増が大きい。また、運行車種別に見ると、タクシーの伸び率が高くなっている。これは運行回数全体に占める定期サービスの割合が高まっていることと関係がある。すなわち、定期サービスは通勤利用が多く(定期サービス利用の71%が通勤目的)、ラッシュ時に重なってしまうことからミニバスの配車繰りがつかず、定期サービスに占めるタクシー運行の割合が高まったものである。
一方、定期サービス(Regular)の割合が増えているため、不定期サービスを利用できる機会(Ponctuel)が減少している。例えば、友人との夕食会が決まっても、定期利用(Regular)に振り向けられている部分が多すぎて、結局STサービスを利用できないことになってしまう。このことは、1997年に拒否回数が大幅に増加していることにも現れている。
以上の点を要約すると、移動制約者の雇用機会提供を優先してきた結果、DISTRICTにとって負担の多いタクシー利用を増加させたと同時に、雇用(=通勤)以外の目的での利用が実質的に制限されてしまっているのが実態である。