つまり保有インフラに対応する適正なメンバー数をCARIPHでは常に意識していたためである(例えば、他都市レンヌでは、制限を設けなかった結果、サービス開始当初から、サービスを受ける人の3分の1が75歳以上となってしまっていた)。なお、登録後に75歳に達した場合には継続してサービスを受けることができるため、今日では上記2要件を満たす人は殆ど全員、CARIPHのメンバーになっている。
ハ.ナントのSFサービスの特色
民間イニシアチブによるSTサービスが、公共に認められた数少ないケースである。大都市でSTサービスを提供しているのは、民間団体であることが多いのに対して、ナントのSTサービスは、ナント交通事業体に属しているため自治体からの財政支援が厚く、比較的安価なサービスとなっている(ナントでは1回10F←他都市では1回20F程度かかることが多い)。
タクシーを組み込んでいることで、年中運行できる体制としているのが特徴的。STサービスを補完するためにタクシーを積極的に組み込んでいるのは、ナント以外ではルーアンに見られる程度である。
表2-9では、フランス主要都市でのSTサービスの概要を整理した。これをもとに、各都市の人口をSTサービス用バスの台数で除した指数(1台あたりの人口)を試算したところ(表2-8参照)、ナントは、ナント以上の人口を有する都市と比べた場合、ボルドー、リヨンよりは指数が大きいものの、リール、パリ、ツールーズ、マルセイユよりは指数が小さいことが分かった。つまり、フランス7大都市の中では、STサービス用バスの台数は比較的多い可能性が高いと思われる(勿論、1台あたりの定員数等、詳細が不明であるため、ここでの計算は試算にしかすぎない)。さらに、タクシーをSTサービスの中に組み込んでいることから、そのSTサービスの水準はフランスでも相当上位にあるものと思われる。