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身体障害者が市政に参加:この委員会には、交通事業体のほか、障害者団体も参加しており、その数は35にも上っている(同じ障害でも複数団体が参加。例えば視覚障害者5団体など)。委員である障害者が、市内各地を定期的に視察し、問題点を指摘することも行っている。

また、市は複数の障害者団体に対して、年間1〜3千フランの補助金を支給している。

 

表2-4 ナント市役所 障害者対策の仕組み

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4] 交通事業体

イ.資本構成

フランスの地方自治体は、通常、公共交通を外部に委託することになっている。また、1994年からは外部委託を行う場合、競争入札が原則となっており、この入札条件の中には移動制約者のアクセス確保も含まれている。ナントでは、ナント交通事業体(SEMITAN:Societe d'Economic Mixed des Transports en Commun de l'Aggromeration Nantaise)がDISTRICTから委託を受けて、公共交通を運営している(DISTRICTとの間で5年毎に入札・契約更改が行われる)。SEMITANは1979年に設立、混合経済体と呼ばれ(日本の第三セクターに相当する)、持ち株構成は、DISTRICT 65%、ナント商工会議所10%、商業銀行10%、トランセット((政府系金融機関フランス預金公庫(CDC)の子会社)14.95%、その他0.05%となっている。

 

ロ.運営形態

車両、資機材全てをDISTRICTが所有し、SEMITANに対して無償貸与する形となっている。

DISTRICTは、LRTやバス等の公共交通について、運転本数等の条件を公表し、入札により交通事業体を選定している。

一方、落札した交通事業体は、DISTRICTが提示した条件に対して原価を提示するが、差額がある場合には、その差額を補填されることになっている。

また、SEMITANは、DISTRICTの事業開発(新型車両の購入や路線の拡充等)に対してアドバイスすることとなっている。例えば、DISTRICTからの依頼を受けてSEMITANが新規路線の事業性を検討し、その検討結果を踏まえてDISTRICT自身が新規路線を決定していく。

 

ハ.財政援助

費用を大きく下回る水準に運賃が設定されていることから、SEMITANの赤字分がDISTRICTから自動的に補填される仕組みとなっている。補填の財源は、DISTRICTの交通税収入(Le Versemont de Trans)7で、DISTRICT内にある社員10人以上の企業が支払うことになっている。

 

7この制度は、フランスの各地方自治体の判断で行われている。1994年度の例では、地方都市全体の公共輸送事業予算のうち、交通税収入が約4割を占めており重要な財源となっている。主に公共輸送サービスの改善、拡張等に利用されている。

 

 

 

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