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ケース2:

通常速度範囲の2隻の船と1隻のHSCが遭遇し「図3」、戦略領域において衝突回避を開始。

この場合、T-2をHSCとする。戦略領域における操舵は、T-2の高速さにもかかわらず、ゆるやかな行動を示している。

 

ケース3a:

HSCが遭遇し「図4」、戦略領域で避航動作を開始。

3隻のHSCがお互いに状況を判断する時間は2分として、その間に前述の例とは違ってすでに戦略領域に入っている。全体として、衝突の危険を検知してから2分後に僅かにコースを変更するのみで解決している。

 

ケース3b:

HSC遭遇し「図5」、戦術領域で避航動作を開始。

この場合のHSCの行動は、通常の船舶の場合の距離範囲で始まる。動作(コース変更)は強烈である。減速しかないと思われる。

 

4. 結 論

通常の船舶が衝突を回避するための一般的な距離範囲はHSCにはまったく不適切である。HSCが遭遇する状況では、針路を譲る船と直進する船との間の手順はまったく役に立たない(図1aと3bとを比較)。

この戦術領域で、HSCを含む船舶の衝突回避法の利点は次のとおりである:

― 自船に必要な操船の順序についての不確実性を除去する。

― 相手船に必要な操船の順序についての不確実性を除去する。

― この操船には、全ての関係船舶の速度ベクトルを比較的僅か変えることも含まれる。

― この操船は衝突予防規則の範囲外で行われる。

― 誘導の衝突予防対策には多数の代替え策がある。

交通流の誘導の戦略的解決法と共に、支援システムの利用が可能である。VTS誘導機能は、船上で余裕のある操船が出来るために必要な時間を持った順序だった指示を船に与えることになるであろう。

 

 

 

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