-調整
交通量の調整は、戦略的な作業と考えられている。戦略的作業とは、将来起こり得る危険な状態を避けるのに役立たせるための予測行動である。これには予測される状況や条件を仮定し、幅広い観察と共通の今後の推移を推定することが必要である。目標は個々の船舶の航海計画に影響を与えることである。通常、航海計画を修正する理由は船舶には判断できない(戦術的水準では)。個々の船舶の航海計画の変更は経済性、安全性、効率性の観点から交通の全体的な流れを改善するものであるべきである。新しい航海計画の指示を受領しても船舶が直ちに行動を起こすことは一般には必要でない。調整とは出来るだけ早く船に勧告や情報を与えることも意味している。これによって得られる効果は、船舶は安全に対する懸念無しに変更された航海計画に従うことができることである。
-最適化
最適な交通の流れとするための必要条件は、船舶のデータに関する情報が適切に利用できることである。船舶の固有データはそれぞれのVTSのデータバンク又はロイド船舶登録データーバンク(ロイド海上情報サービス)(LIMIS)から、インターネット経由で入手する。船舶の現状データーはAISで入手できる。最適な交通の流れとするための適切な基礎は海象や気象の環境データーによって完成される。目的とする機能は、航海区域を航行する全船舶が通過する時間の合計を最小とすることである。規制は船舶の通航の順序や優先権に対する原則的な規則である。もし殆どの船が進行に関係ないなら、この問題の解決はは小さなものではない。調整作業を解決する為には最適化の方法についての技術的な支援は拒否できない。支援システムは交通誘導の恒久的な問題を解決を支援するものである。
例:
下記の例で交通状態のシナリオを示す。これには3隻の船が関係している。速度を変更しないと3隻の船はお互い衝突する危険性を持っている。全ての船の衝突はコンピューターアルゴナリズム(VTMC)により解決できる。下記にその例を示す:
ケース1a:
「図1」通常速度の船舶が遭遇し、戦術領域で衝突回避を開始。
このシナリオは型どおりの衝突に至る状態を示している。この状況を解決するために、全ての船が衝突の危険性を検出してから12分後に避航動作を開始する。避航動作は右舷側へのコース変更である。速度が最低の船T-1以外は3nmの外側から変針を開始しする。経過時間(12分)と船が衝突推定点に到達するまでの残り時間との関係を図1で注目してほしい。12分の待ち時間で、お互いに相手船が行動を起こすことを期待して緊張が高まってくる。全ての操舵者が経験する緊張の高まりはミスを起こし易くする原因となる。衝突の危険を感じた瞬間から時間が経つにつれて、その他のとるべき回避方法は少なくなるのである。
ケース1b:
通常速度範囲で船舶が遭遇し「図2」、戦略海域で衝突回避動作を開始。
このシナリオでは、3隻全ての船が衝突の危険を感じてから2分後には回避行動によって衝突防止を確実にしている。行動の初期においてすでに衝突に関する問題は解決している。この行動はケース1aと比較して、操船量も"軽度"であり、精力的で損失も少ない。"待ち時間"の増加により危険度が増すこともない。