高速艇に対するVTS業務
1. 序文
高速旅客フェリー(HSC)の出現による交通の流れの増加と変化が海運の最近の状況である。現在ヨーロッパ海域では、86隻のHSCが運航されており、世界的には206隻が運航されていて、HSC交通海域は世界で急速に増大しつつある。全てのHSCはVTS水域での運行が圧倒的に多い。これらの水域では、船はその可能な最高速度でそうこうするべきである。航行に関する機能は、現在全て船上にある。これまでに建造されたあたらしいHSCには何らかの統合船舶制御装置が組み込まれている。統合船舶制御装置では、制御システムの全てのコンピュータが情報交換出来るようになっている。HSCのその他の航海機器には特殊レーダ(Xバンド周波数のアンテナ回転をあげた)と暗視装置がある。ARPAレーダには全ての目物標を即時に発見できるように、中心をずらした12マイルレンジの指示器が使われている。全ての目標を速やかに検出することによって、衝突の危険性を判断するための相対ベクトルが確実に求められる。実際の航海計画では、高速船と在来船の運行航路を明確に区分する。
VTSの基本的な業務は船舶の交通状況を観察し制御することである。VTS運用員は、交通密度の傾向と混雑の可能性を推定しなければならない。交通の流れを最適にする為、運用員は船上に航行支援や助言を与えなければならない。運用員にはこれらの業務を遂行するための機材が与えられている。VTS運用員は、関連船舶についての主要データのセットから情報が得られる。速度と時間の図表は航路計画に使用出来る。 TCPA/CPA警報はレーダ画面上で交通状態を監視するのに役立つ。更に交通分離方式は、沿岸水域での交通の流れの規制に役立つ。
2. VTSSによるHSCへの航行支援における困難な問題
HSCに対するVTSへの基本的な業務は、最高速度での航行を保証することである。この実施は、公海上及び防波堤内での以下の作業を定めることを考えることができる。公海上における基本的な作業は、交通と気象状態によって組み立てられる。航路の交通状況によって行われる航路計画では、更に高速船と在来船との間の交通管理か、単に高速艇と高速艇間の交通管理かに分けられる。防波堤内で、可能な最高速力で航行するHSCが高速で走行させる為には、HSCの航路計画は他船に優先させて作成しなければならない。
この作業を実施するにあたり、基本作業を更に分割する事が出来る。沿岸水域における作業は、交通や気象状態による最適のルートを管理することである。内海水域では関連する全ての環境下で、HSCに最大速度を保証することである。船舶から送信される情報で、現在得られるものでは、航行支援から船舶にできるだけの最高速度を保証するための交通誘導に変えるには不充分である。
誘導や陸上からの水先案内には座礁防止や衝突回避の情報が含まれる。新たに行わなければならないのは多数のHSCについての衝突回避である。IMOのHSCコード(高速艇コード/A.820(19))では、速度限界を70ktと定めているから出会いコースでは相対速度は140ktに達し得る。船間距離は3分毎に7海里ずつ縮まる。航行計画に対し意思決定に残される時間は非常に短い。